公共の急速充電器(一般にDC急速充電器または「スーパーチャージャー」と呼ばれます)は、電気自動車(EV)の普及において最も重要なインフラの一つです。短時間で走行可能な電力を供給するため、非常に高い出力を扱います。
ここでは、急速充電器の仕組みと、それにTSCパッケージなどの先進技術がどのように貢献しているかを解説します。
⚡ 急速充電器の役割と仕組み
急速充電器の最大の役割は、電力系統の交流 (AC) 電力を、EVバッテリーが要求する直流 (DC) 電力に変換し、大電流で供給することです。
1. 電力変換のプロセス
急速充電器は、主に2段階の電力変換を行います。
| 段階 | 役割 | 変換内容 |
| AC-DC変換 | 電力系統からの交流を高電圧の直流に変換 | AC → DC |
| DC-DC変換 | バッテリーの充電状態に応じた最適な電圧と電流に調整 | DC → DC |
この変換ユニットのコアとなるのが、ハーフブリッジやフルブリッジといった電力変換回路です。
2. 高出力化に伴う最大の課題:熱と損失
公共の急速充電器は、数十kWから数百kWという非常に大きな電力を扱います。この大電力を高速でスイッチングする際、**電力損失(発熱)**が発生します。
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電力損失が増大: 出力が高くなるほど、スイッチング素子(MOSFET/ダイオード)の発熱も大きくなります。
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温度制限: 半導体チップの動作温度には上限があるため、発生した熱を効率的に除去できなければ、充電器の最大出力や信頼性が制限されてしまいます。
🔬 SiC半導体とTSCパッケージの貢献
この熱と損失の課題を解決し、充電器の高出力化・小型化を実現するために、SiC(炭化ケイ素)半導体とTSC(Top-Side Cooling)パッケージが不可欠な技術となっています。
1. SiCによる高効率化
SiC MOSFETとダイオードは、従来のシリコン(Si)半導体に比べて以下のような特長があります。
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低スイッチング損失: 非常に高速で動作するため、エネルギーロスが少なく、発熱量が低減します。
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高耐熱性: 高い温度環境でも動作可能で、冷却機構を小さくすることができます。
これにより、充電器全体のエネルギー効率が向上し、発熱量自体を減らすことができます。
2. TSCパッケージによる高性能な排熱
SiCで損失が減っても、大電力を扱う充電器ではまだ大きな発熱があります。ここでTSCパッケージが活躍します。
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冷却効率の劇的な向上: TSCパッケージは、熱をPCBからではなく、パッケージの上面から直接ヒートシンクへ逃がします。これにより、熱抵抗が低くなり、高出力なSiCチップの発熱を素早く外部に排熱できます。
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高電力密度: 効率的な排熱のおかげで、より小さな部品(チップ)で大きな電力を扱えるようになり、充電器ユニットの体積を大幅に削減できます。これにより、充電スタンドの小型・軽量化が実現します。
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低寄生インダクタンス: SiCの高速スイッチング能力を阻害しないよう、パッケージの電気的接続が最適化されているため、安定した高性能な充電動作が可能になります。
下記資料では「ハーフブリッジとフルブリッジの違い」について詳しく解説されています。
【パワエレ】インバータの基礎 Fundamentals of Inverter
https://www.youtube.com/watch?v=4vl3RKoH_M4
出典:パワーエレクトロニクス研究室―Power Electronics Lab.
01:14 概要
01:32 インバータの種類(電圧形と電流形)
03:33 インバータの基本回路(電圧形インバータの場合)
05:03 インバータの電流経路
05:49 インバータの種類(ハーフブリッジとフルブリッジ)
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