帯域密度:1 Tbps/mm、エネルギー効率:2 pJ/bitという性能目標は、主にNTTが提唱するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想における光電融合デバイス、特に光チップレットの実現に向けた非常に野心的な目標値です。
これは、データセンターやAI処理における通信のボトルネック解消と消費電力の劇的な削減を実現するために設定されたものです。
🎯 性能目標が意味するもの
これらの目標値は、従来の電気配線や一般的な光デバイスの性能を大きく超えるものです。
1. 帯域密度: 1 Tbps/mm
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意味: 1ミリメートルあたりの断面積を通じて、毎秒**1テラビット(1兆ビット)**のデータを転送できる能力を意味します。
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重要性: チップレット間やチップ内の通信において、実装面積の制限がある中でいかに大容量のデータをやり取りできるかを示す指標です。この高密度化は、特にAIアクセラレータや高性能CPUなどの演算LSIと、光送受信器を極限まで近接させて統合する**Co-Packaged Optics (CPO)**などの光チップレット技術において極めて重要です。
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実現技術: シリコンフォトニクスや前述のメンブレン化合物半導体光デバイスといった、微細で高性能な光集積回路技術によって達成を目指します。
2. エネルギー効率: 2 pJ/bit
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意味: 1ビットのデータを転送するために消費されるエネルギーが**2ピコジュール(2 X 10-12 J)**であることを意味します。
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重要性: 従来の電気配線による通信では、チップ間の距離が長くなるほど、データ転送のエネルギー効率が悪化します。データセンターの消費電力増大が世界的な課題となる中、この2 pJ/bitという目標は、通信にかかる電力を劇的に低減し、IOWN構想が掲げる消費電力1/100の実現に不可欠です。
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実現技術: 光を効率よく閉じ込めて駆動電流を大幅に低減できるメンブレン型レーザや、低損失で光を変調できる光変調器などの高性能光デバイスの開発が求められます。
💡 IOWN構想と光電融合ロードマップ
これらの目標性能は、NTTのIOWN構想における光電融合技術の実現ロードマップに基づいています。
| 項目 | 2025年頃の目標 | 最終目標 (2029年以降) |
| 光電融合の導入フェーズ | チップ間・ボード間通信の光化 | チップ内配線の一部光化 |
| エネルギー効率 | 10 pJ/bit台 | 2 pJ/bit |
| 帯域密度 | 数百 Gbps/mm | 1 Tbps/mm |
光チップレットは、これらの目標達成を通じて、コンピュータ内部の電気信号の大部分を光信号に置き換え、半導体チップの性能向上と電力効率向上を両立させるための核となる技術と位置づけられています。
APNは、IOWN構想が目指す「高速・大容量、低遅延、超低消費電力」な次世代のデジタル社会を実現するための「神経網」の役割を果たします。(NTT・NTTイノベーティブデバイス・NXTEC・古河電工・新光電気)
この動画では、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)が従来の通信とどのように異なり、超低遅延や超大容量を実現するのかについて詳しく解説されています。
オールフォトニクスネットワーク(APN)とは? APNの概要をわかりやすくお伝えいたします。
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