日本国内でハイパースケールデータセンター事業者(AWS、Azure、GCPなど)が利用している光通信の具体的な技術やネットワーク戦略は、主にDCI(データセンター相互接続)と、日本の通信キャリアのメトロ・バックボーンを利用する側面に集約されます。
1. DCI (データセンター相互接続) の技術と戦略
ハイパースケーラーは、自社のデータセンター(DC)間や、自社DCとキャリアのPOP(接続拠点)間を大容量で接続するために、最新のコヒーレント技術を積極導入しています。
A. コヒーレント技術の採用
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400G ZR/ZR+: 短・中距離(数百km圏内)のDCIの標準として最も広く利用されています。この小型プラグアブルモジュール(QSFP-DD DCOなど)は、日本の光コンポーネントメーカーが開発した高密度変調器(HB-CDM)やDSP技術を搭載しています。
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戦略: 専用の大型光伝送機器(トランスポンダ)を廃止し、ルーターのポートに直接コヒーレントモジュールを挿入する「ルーテッド・オプティクス」を導入することで、機器の設置面積、消費電力、コストを大幅に削減しています。
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800G/1.2T への移行: 大容量化の要求から、次世代の**800G ZR/ZR+**コヒーレント技術のトライアルや導入が始まっています。
B. 多重化技術
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超広帯域WDM (C+L Band): 従来のCバンドに加え、Lバンドも利用し、光ファイバー1本あたりの伝送容量を最大化(例:100波以上の多重化)。
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オープン・ラインシステム: 特定のベンダーに依存しない、オープンな光伝送ラインシステム(Open Line System)を採用し、異なるベンダーのコヒーレントモジュールを収容できる柔軟なネットワークを構築しています。
2. キャリアネットワークの活用と技術
ハイパースケーラーは、自社のDCネットワークだけでなく、NTT東西やKDDIなどの国内大手通信事業者が保有するメトロ・バックボーン回線を大量に借りて利用しています。
A. キャリア提供の最新光伝送サービス
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Flex-Grid / Super C-Band: キャリアは、ハイパースケーラーの求める大容量トラフィックを収容するため、柔軟な波長幅割り当てが可能なFlex-Grid技術や、広い波長帯域(Super C-Band)を活用した伝送サービスを提供しています。
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広域メトロWDMの採用: 東京圏や大阪圏などの大都市圏で、多数のDCと接続拠点を低遅延かつ高効率に接続するため、キャリア側も最新のコヒーレントWDM技術を採用しています。
B. 日本独自の戦略技術(NTTグループのIOWN構想など)
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IOWN構想: NTTグループは、次世代通信インフラとしてIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を推進しており、その核となるのがAPN (All-Photonics Network) です。
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APNの要素技術: 光電融合デバイス、超広帯域光伝送、低遅延光スイッチングなど。
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ハイパースケーラーへの影響: この技術が実現すると、日本国内のデータセンター接続やユーザーへのサービス提供において、従来の1/100の低消費電力と超低遅延(遅延1/200)が実現される可能性があり、高性能なクラウドサービスを求めるハイパースケーラーにとって非常に重要な基盤となります。
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まとめ
日本のハイパースケーラーが利用する光通信戦略は、**「最新の小型コヒーレント技術(400ZR/800G)によるコスト効率と集積度の最大化」と「日本のキャリアが提供する高性能・大容量ネットワークの積極的な活用」**の二本柱で構成されています。
この需要が、日本の光コンポーネントメーカーに、高性能なHB-CDMなどの変調器の開発を促す大きな要因となっています。
参考:
APNは、IOWN構想が目指す「高速・大容量、低遅延、超低消費電力」な次世代のデジタル社会を実現するための「神経網」の役割を果たします。(NTT・NTTイノベーティブデバイス・NXTEC・古河電工・新光電気)
この動画では、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)が従来の通信とどのように異なり、超低遅延や超大容量を実現するのかについて詳しく解説されています。
オールフォトニクスネットワーク(APN)とは? APNの概要をわかりやすくお伝えいたします。
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