MultiGBASE-T1(IEEE 802.3ch)のような高速差動伝送を評価する際、最も重要な概念の一つが**「ミックスドモード(混合モード)Sパラメータ」**です。

通常のSパラメータは各ポート(Port 1, 2, 3, 4)間の関係を示しますが、ミックスドモードではこれを**「差動信号(Differential)」「同相信号(Common)」**の振る舞いとして再定義します。これにより、基板やコネクタ(HFMなど)の平衡度を定量的に評価できます。


1. ミックスドモードSパラメータの構造

4ポートVNAで測定された標準Sパラメータ(S11, S21など)は、数学的な変換行列を経て、以下の4つの象限(Quadrant)に分類されます。

象限 記号 意味と評価内容
第1象限 SDD 差動入力 → 差動出力(本来の通信特性)。挿入損失 (SDD21) やリターンロス (SDD11) を評価します。
第2象限 SDC コモン入力 → 差動出力(EMI耐性 / EMS)。外部ノイズがどれだけ差動信号(データ)を汚すかを示します。
第3象限 SCD 差動入力 → コモン出力(放射エミッション / EMI)。データ信号がどれだけ不要なノイズとして漏れ出すかを示します。
第4象限 SCC コモン入力 → コモン出力(同相特性)。コモンモードチョークフィルタの効果などを確認します。

2. MultiGBASE-T1 における重要項目

IEEE 802.3ch のコンプライアンス試験では、特に以下の「モード変換」に関連する項目が厳格に規定されています。

Mode Conversion Loss (SCD11 / SDC11)

差動信号が反射する際、あるいは通過する際に、どれだけコモンモードに変換されるかを測定します。

  • なぜ重要か: 完璧に左右対称(平衡)な回路であれば、モード変換は起こりません。しかし、HFMコネクタのピンのわずかな歪み、基板配線の長さの不一致(Skew)、ビアの配置の非対称性があると、ここでノイズが発生します。

  • 10GBASE-T1の基準: 周波数が高くなるほど(最大5.6GHz以上)、このモード変換を低く抑えることが極めて難しくなります。


3. VNAでの測定手順と注意点

4ポートVNAを使用してミックスドモードを正しく抽出するためのステップです。

  1. 物理ポートの定義:

    VNAのPort 1/3 を「差動ペアの入力側(Logical Port 1)」、Port 2/4 を「出力側(Logical Port 2)」のようにペア設定します。

  2. インピーダンス設定:

    VNAのデフォルトは50Ω(単一エンド)ですが、システム設定で差動100Ω / コモン25Ωとして計算するように設定します。

  3. フィクスチャ除去 (De-embedding):

    2.92mmアダプタやHFMフィクスチャのSパラメータ(.s4p)を差し引きます。

    • 重要: フィクスチャ自体にわずかな「ペア内遅延差(Skew)」があると、それがそのままモード変換(SCD21など)の悪化として現れてしまいます。


4. TDRとミックスドモードの相関

ミックスドモードSパラメータで特定の周波数に「ディップ(急激な悪化)」が見られる場合、TDR(タイムドメイン)に切り替えて確認すると原因が特定しやすくなります。

  • SCD21が悪化している場所を特定: TDRでP線とN線の反射波形を重ね合わせ、波形がズレ始めるポイント(コネクタ、あるいは基板のベンド部など)を探します。その物理的なズレが、周波数ドメインでのモード変換損失として現れています。


次のステップとして

測定された .s4p(Touchstoneファイル) を解析して、規格の「リミットライン」と照らし合わせる自動判定ツールや、特定の周波数で SCD11(反射モード変換) が不合格になる場合のデバッグ手法(基板改修案など)について、さらに深掘りが必要でしょうか?

 

 

 

出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)

 

 

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