この記事ではエンジャーさんよりSiglentのSDS5108X HDを実際に使ってみた際の操作感についてレビューしています。
SDS5000X HDシリーズの概要
SDS5108X HDを含むSDS5000X HDシリーズはSiglentの高分解能オシロスコープ(HD系列)のミドル〜ハイエンドモデルです。
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図 SDS5108X HDの外観
12ビットの高分解能と8CHの多入力に対応しており、パワーエレクトロニクスや組み込みシステムの複雑なマルチチャンネル解析をターゲットとしています。
ラインナップ
SDS5108X HDは同シリーズの最上位モデルにあたります。

図 SDS5000X HDシリーズのラインナップ
各モデルはチャネル数と帯域幅によって分かれています。最小構成のSDS5034X HD でも4CH、350MHz帯域と必要十分な性能を備えていますが、最大構成のSDS5108X HDは8CH、1GHz帯域と他のハイエンドモデルと遜色ない性能を有しています。
とりわけ8CHオシロスコープは近年のトレンドにも即しており、複雑な組み込み機器の効率的な開発・デバッグをサポートできます。
特徴
ここからはSDS5108X HDが持つ3つの特徴について紹介します。
高分解能
従来の8ビットオシロスコープの16倍の12ビットの垂直分解能を持ち、微小な信号ノイズや変動を鮮明に捉えることができます。特にSDS5108X HDの1 GHz帯域・12ビットという仕様はワイドギャップ半導体(SiC/GaN)の測定にも適しています。
8CH入力
従来の4CHでは不足していた三相交流インバータの解析や、複数の電源レールの同時立ち上げシーケンス確認など、8CH入力なら一度の測定ですべての信号を同時に補足することが可能となります。
深いメモリ長
最大 2.5 Gpts/ch (25億ポイント) という驚異的なメモリ深度を持つため、高サンプリングレートを維持したまま長時間の波形を取り込むことが可能です。これによって低頻度の不具合や波形ひずみを捉えることができます。
SDS5108X HDの操作感
ここからは実際にSDS5108X HDを使用したときの操作感について紹介します。
起動時間
電源投入から実際に操作可能になるまでの起動時間は 55秒程度でした。これはハイエンドモデルの中ではかなり早い方に分類されます。
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図 SDS5108X HDの起動画面
オシロスコープの起動時間が極端に長過ぎると使用するにあたってのストレスとなりますが、1分以下で起動できるとなると困る場面はほとんどないでしょう。起動後に測定の準備(プロービング、各種設定)を行うことで、ウォームアップ時間も十分に確保できるため、起動から測定までをスムーズに実行できると言えます。
外観
本体のフォームファクタや質感は他のSiglent製の計測器と統一されています。
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図 SDS5108X HDの全体像
SDS5000X HDシリーズの外観で特徴的な点としては、入力端子とAuto Setupボタン・Defaultボタンです。
入力端子
入力端子はアクティブプローブが接続できるようにProBus(プロバス)インターフェース付き BNC 端子となっており、これによってアクティブプローブを使用して高速信号を正確に測定できます。
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図 SDS5108X HDの入力端子
SiglentのアクティブプローブはSAP5000やSAP1000などがあります。また他社製のアクティブプローブを接続するためのアダプタも存在するため、既存のアセットを活用することも可能です。(Tektronix向けTPA10、LeCroy向けLPA10)
ボタン配置
Auto Setupボタン・Defaultボタンは他のボタンと比較して、奥まった位置に配置されています。
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図 Auto Setupボタン・Defaultボタンの配置
これは誤操作によって設定が変わってしまうリスクを低減するための処置と思われますが、使い勝手を向上させるための配慮が見受けられます。
ユーザーインターフェース(UI)
SDS5000X HDシリーズは他のオシロスコープ(筆者が保有するものの中では SDS804X HD)と同じようなUIですが、多入力・高機能ということでいくつかの改良が加えられています。ここでは実際に使ってみて便利だった操作性について取り上げます。
入力チャネルの設定
入力チャネルが8CHあるということは、それだけ設定項目が多くなるということです。そこでSDS5108X HDでは各チャネルを一括で設定、またはチャネル設定をコピーできるようになっています。
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図 入力チャネルの設定画面
例えば画面右上の All On、または All Offボタンで、全チャネルの有効化・無効化を一括で切り替えられます。
またチャネル設定をコピーするためのGUIも洗礼されていて、一目でどのチャネル(From)からどのチャネル(To)へ設定を適用するかが一目瞭然でわかりやすくなっています。
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図 チャネル間の設定コピー
加えてチャネルのMath・Measurement機能の適用も同じウィンドウから設定できるため、少ない操作でより多くの設定が実現できるようになっています。
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図 Math・Measurement機能の適用
プローブの設定
プローブの設定についても、純正プローブであれば自動で減衰比が設定されます。
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図 純正プローブを接続した様子
また Probe Check機能によってキャリブレーションもオートで実行することができます。
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図 オートキャリブレーションの実行
キャリブレーションも8チャネル分の作業が必要になるため、自動でできるとかなりの省力化につながります。
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図 キャリブレーション波形
Math機能
ローエンドクラスのオシロスコープではMath機能を使用すると処理負荷が高く、途端に動作が重くなるものもありますが、SDS5108X HDはタッチ操作やボタン操作に遅延を感じることはありません。おそらくCPUの処理性能にかなりの余裕があるものと思われます。
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図 FFTを実行している様子
比較的負荷が高いFFTを実行している状態でも、他の処理をスムーズに実行できます。このあたりの操作感も実際に使用するうえでストレスを感じやすい部分なので、ハイエンドモデルらしくキビキビ動作するのは好印象です。
Decode機能
シリアル通信のデコード機能は標準のI²C, SPI, UART, CAN, LIN に加えて、オプションでCAN FD, FlexRay, I²S, MIL-STD-1553B, SENT, Manchester(デコードのみ)、ARINC429、CAN XL、SpaceWire、SPMIを追加できます。
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図 シリアル通信のデコード
通信規格ごとに各設定項目が1つのウィンドウで確認できるのは非常にわかりやすく、このあたりの視認性も従来のUIから改善されている点です。
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図 デコードの設定画面
キャンペーンのお知らせ
T&Mコーポレーションでは期間限定で「SIGLENT(シグレント)計測器お買い得キャンペーン!」を実施しています。
SDS5000X HDシリーズはシリアル通信の各種デコード機能が無償で提供されます。
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