SIGLENT(シグレント) SDS800X HDシリーズ デジタル・オシロスコープ

シリコンフォトニクス (SiPho)OMEMS (Optical MEMS) は、光集積回路の性能と機能を飛躍的に向上させるために、現在最も注目され、統合が進んでいる技術分野です。

簡単に言えば、**SiPhoは光を伝送・処理する「舞台」**であり、**OMEMSは光を動的かつ低電力で制御する「可動装置」**です。


 

🔬 シリコンフォトニクス (SiPho) の概要

 

シリコンフォトニクス (SiPho) は、半導体製造技術(CMOSプロセス)を用いて、シリコン基板上光導波路、変調器、受光器などの光学部品を集積化する技術です。

  • 光集積回路(PIC: Photonic Integrated Circuit) の中核技術であり、電子回路と同じシリコン上で光を扱うことで、光通信の大容量化、小型化、低コスト化を目指します。

  • 主な応用分野は、データセンター間の超高速光インターコネクト、LiDAR、センサーなどです。

 

⚙️ SiPhoとOMEMSの統合

 

OMEMS(または SiPho MEMS)は、SiPhoチップの機能と性能を、従来の熱光学効果(光の屈折率を熱で変える)に頼るコンポーネントよりもはるかに優れた方法で強化します。

 

1. 統合の目的とメリット

 

項目 従来の技術 (主に熱光学) OMEMS/SiPho MEMS メリット(統合効果)
制御メカニズム 温度変化による屈折率の変化 ナノスケールの物理的な動き 光の変調が速く、ロスが少ない
消費電力 高い(光導波路を加熱するため) 非常に低い(静電力で動かすため、ナノワットレベル) 大規模集積回路の省電力化
応答速度 遅い(熱の拡散に時間がかかる) 速い(機械的な動きがマイクロ秒~ナノ秒) 高速なネットワークスイッチング
機能 限定的(位相調整など) 幅広い機能(可変カプラ、スイッチ、フィルターなど) 多機能なプログラマブルチップ

 

2. 代表的な統合デバイス

 

OMEMSの微小な可動構造をSiPhoの光導波路の近くに配置し、機械的な動きで光の特性(位相や結合強度)を変化させます。

  • MEMS駆動光スイッチ:ナノスケールの機械的な動きで導波路を物理的に結合・分離し、光信号をルーティングします。

  • MEMS駆動移相器(フェーズシフター):電極を動かして導波路に近づけたり遠ざけたりすることで、光信号の位相を効率的に制御します。

  • MEMS駆動フィルター:光共振器(リング共振器など)の構造をナノスケールで動かし、通過させる光の波長を動的に調整します(例:波長多重/分波)。

 

3. 主要な応用分野

 

SiPhoとOMEMSの統合は、以下の分野で特に重要視されています。

  1. データセンター/クラウド: 大規模なプログラマブル光回路を実現し、データ通信の柔軟性とエネルギー効率を改善します。

  2. LiDAR/3Dセンシング: MEMSマイクロミラーをSiPhoチップ上に集積し、光ビームの走査を小型かつ高精度で行うことで、自動運転車向けの次世代LiDARを実現します。

  3. 量子フォトニクス: 大規模で安定した光量子回路の実現に、低ロス・低消費電力で動作するOMEMSコンポーネントが不可欠とされています。

 

 

 

 

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