アクティブプリチャージ(Active Pre-Charge)回路で、降圧(Buck)トポロジのスイッチングコンバータを用いるのは、主にトラクションインバータなどの大容量DCバスコンデンサ($C_{DC\_LINK}$)を安全かつ効率的に充電するためです。
従来のパッシブ(抵抗式)プリチャージと比較して、いくつかの大きなメリットがあります。
💡 アクティブプリチャージと降圧トポロジの役割
1. アクティブプリチャージの目的
大容量のCDC_LINKに電源を投入する際、容量が空の状態だと非常に低いインピーダンスとなるため、電源側に**突入電流(Inrush Current)**が流れ込みます。この突入電流は、バッテリーの保護回路やリレー(コンタクタ)を損傷させる可能性があるため、電流を制限しながら充電する必要があります。
アクティブプリチャージは、この突入電流の制限と、目標電圧までの充電を能動的に制御する技術です。
2. 降圧コンバータの採用理由
パッシブ方式が固定抵抗で電流を制限するのに対し、アクティブプリチャージでは降圧スイッチングコンバータ を用いて、充電プロセスを精密に制御します。
| 要素 | 降圧コンバータの役割 | メリット |
| 突入電流制限 | スイッチングコンバータの電流制御ループにより、充電電流を安全な閾値(例: 5A以下)に正確に制限できます。 | 突入電流による部品損傷を防ぎ、充電時間を最適化できます。 |
| 高効率 | 抵抗で熱としてエネルギーを消費するパッシブ方式に対し、降圧コンバータは電力変換効率が高く(90%以上)、エネルギーの浪費が少ないです。 | システム全体の効率向上に貢献します。 |
| 充電電圧の制御 | DCバス電圧を監視し、プリチャージの目標電圧に達したことを検出し、メインコンタクタを閉じるタイミングを正確に制御できます。 | メインコンタクタ投入時の過渡的な電流スパイクを最小限に抑えられます。 |
⚡ 動作シーケンスの概要
アクティブプリチャージの動作シーケンスは、通常、以下のステップで進行します。
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プリチャージ開始: バッテリーとDCリンク間のプリチャージ用コンタクタを閉じ、降圧コンバータを起動します。
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電流制限充電: 降圧コンバータは定電流(CC)モードで動作し、設定された安全電流値を超えないようにCDC_LINKを充電します。
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目標電圧到達: DCリンク電圧が、バッテリー電圧の90%〜95%などの目標電圧に達するまで充電を継続します。
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メインコンタクタ投入: 電圧差が十分に小さくなったことを確認した後、メインのコンタクタを閉じます。
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プリチャージ終了: プリチャージ用コンタクタを開放し、降圧コンバータを停止します。
この仕組みにより、DCリンクコンデンサは安全かつ効率的に充電され、後続のインバータやモーターへの電力供給準備が完了します。
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