
インピーダンスアナライザの等価回路パラメータとは、測定したインピーダンス(交流における抵抗)の実測値を、抵抗(R)、インダクタンス(L)、キャパシタンス(C)などの理想的な素子を組み合わせた等価回路モデルに当てはめて算出した値のことです。これにより、被測定物の複雑な電気的特性を、よりシンプルかつ直感的に理解することができます。
等価回路モデルの種類
等価回路モデルには、被測定物の特性に応じていくつかの種類があります。主なモデルとそのパラメータは以下の通りです。
1. 直列等価回路モデル
抵抗とリアクタンス(コイルまたはコンデンサ)を直列に接続したモデルです。
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Cs-Rs: コンデンサと抵抗を直列に接続したモデル。コンデンサの静電容量(Cs)と等価直列抵抗(Rs)を評価します。主にコンデンサの測定に使用されます。
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Ls-Rs: コイルと抵抗を直列に接続したモデル。コイルのインダクタンス(Ls)と等価直列抵抗(Rs)を評価します。主にコイルの測定に使用されます。
2. 並列等価回路モデル
抵抗とリアクタンス(コイルまたはコンデンサ)を並列に接続したモデルです。
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Cp-Rp: コンデンサと抵抗を並列に接続したモデル。コンデンサの静電容量(Cp)と並列抵抗(Rp)を評価します。低周波における漏れ電流や誘電体の損失評価に有用です。
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Lp-Rp: コイルと抵抗を並列に接続したモデル。コイルのインダクタンス(Lp)と並列抵抗(Rp)を評価します。
その他の重要なパラメータ
等価回路の主要素(R, L, C)のほかに、以下のパラメータもインピーダンスアナライザで算出されます。
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Q(Quality Factor): 誘導性または容量性のリアクタンスと抵抗の比で、回路の共振の鋭さや損失の少なさを示す無次元量です。値が大きいほど損失が少ないことを意味します。
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D(Dissipation Factor): 誘電正接とも呼ばれ、損失係数を表す無次元量です。Qの逆数()に相当し、値が小さいほど損失が少ないことを意味します。主にコンデンサの評価に用いられます。
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|Z| (インピーダンスの絶対値): インピーダンスの大きさ()です。
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(位相角): 電圧と電流の位相差を示します。
これらのパラメータは、電子部品の特性評価、材料科学、電気化学などの幅広い分野で活用されています。
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