オールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network: APN)は、NTTが提唱するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の中核を担う技術基盤です。
これは、従来のネットワークで生じていた光信号と電気信号の変換を極力排除し、ネットワークの端から端までを光(フォトニクス)技術でつなぐ次世代の通信インフラです。
⚡ APNの主な特徴と革新性
従来の光通信では、通信局舎などでデータを中継する際に光信号を電気信号に変換し、処理後に再び光に戻す光電変換が行われていました。APNは、この変換プロセスをなくすことで、通信のボトルネックを解消します。
APNが実現する主要な特性は以下の3つです。
1. 超低消費電力
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革新性: 電気処理に伴う電力消費を削減し、ネットワーク全体の消費電力を大幅に低減します。光電融合デバイスの適用と合わせて、最終的に現在の1/100の消費電力で同等の通信を提供することを目指しています。
2. 超低遅延・ゆらぎゼロ
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革新性: 光電変換に必要な時間をゼロに近づけることで、通信遅延(レイテンシ)を極限まで小さくします。また、波長専有(他ユーザーのトラフィックの影響を受けない)や時分割多重方式の採用により、通信速度の変動(ゆらぎ)がない安定した高品質な伝送を実現します。
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具体的な目標: 従来比で遅延を最大1/200に抑えることが目標とされています。
3. 超大容量・高品質
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革新性: 光ファイバーの**波長多重技術(WDM)**を最大限活用し、1本のファイバーで複数の通信を同時に行えるようにすることで、大容量な通信を可能にします。
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具体的な性能: ユーザー拠点間での最大 800 Gbps(帯域保証型)の高速・大容量通信がすでにサービスとして提供開始されています。
🏗️ APNの構成と要素技術
APNのアーキテクチャは、通信の全工程を光信号で処理するために、いくつかの重要な要素技術によって構成されています。
1. 光電融合デバイス
APNの実現に不可欠なデバイスです。ネットワークの中継装置や、最終的に端末のチップレベルに至るまで、電気回路と光回路を融合させ、光のまま信号を処理できるようにします。
2. 波長多重(WDM)技術
一本の光ファイバーに複数の波長の光(色)を乗せて、同時に多くのデータを伝送する技術です。APNでは、この技術を高度化し、それぞれの波長をエンド・ツー・エンドでユーザーに専有させることで、超大容量化とゆらぎゼロを実現します。
3. APNコントローラー
ネットワーク全体を自律的かつ柔軟に制御する機能です。ユーザーやアプリケーションの要求に応じて、最適な光パス(光の道筋)をオンデマンドで設定・切り替える役割を担います。
🎯 ユースケース
APNの実現は、遅延や電力消費の制約によって実現が難しかった分野に革命をもたらします。
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遠隔医療: 低遅延・ゆらぎゼロの通信により、遠隔地からロボットを操作する遠隔手術や、高精細な医療映像のリアルタイム共有を実現します。
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デジタルツインコンピューティング(DTC): 現実世界の膨大なセンサーデータや映像データを、遅延なくデジタルツインの処理基盤(光ディスアグリゲーティッドコンピューティング)へ伝送し、リアルタイムな未来予測や高精度なシミュレーションを可能にします。
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自動運転: 瞬時のデータ伝送と処理により、車両やインフラ間でのリアルタイムな情報共有を実現し、安全性の高い協調型自動運転を支えます。
APNは、IOWN構想が目指す「高速・大容量、低遅延、超低消費電力」な次世代のデジタル社会を実現するための「神経網」の役割を果たします。(NTT・NTTイノベーティブデバイス・NXTEC・古河電工・新光電気)
この動画では、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)が従来の通信とどのように異なり、超低遅延や超大容量を実現するのかについて詳しく解説されています。
オールフォトニクスネットワーク(APN)とは?APNの概要をわかりやすくお伝えいたします。
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