
半導体のキャリア濃度を測定する方法として、ホール測定が最も一般的です。その他にも、C-V測定、ラマン分光法などがあります。
主な測定方法
ホール測定 (Hall measurement)
ホール測定は、半導体に電流と磁場を同時に印加し、発生するホール電圧を測定することで、キャリア濃度、移動度、キャリアタイプ(n型またはp型)を求める方法です。
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原理: 磁場中で電流を流すと、荷電粒子(キャリア)がローレンツ力を受け、半導体の端に偏ります。この電荷の偏りによって生じる電位差がホール電圧です。この電圧の大きさからキャリア濃度を算出します。
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注意点:
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正確な測定には、試料の形状や電極配置が重要です。一般的に、ファン・デル・ポー法と呼ばれる四端子法が用いられます。
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試料の厚さが均一でないと、測定値に誤差が生じやすいです。
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低抵抗の試料や高温での測定では、測定が困難になる場合があります。
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C-V測定 (Capacitance-Voltage measurement)
C-V測定は、半導体と金属の間に形成されるショットキー接合やMOS構造を利用し、印加する電圧に対する静電容量の変化を測定する方法です。
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原理: ショットキー接合やMOS構造に電圧を印加すると、空乏層の幅が変化します。この空乏層の幅はキャリア濃度に依存するため、静電容量の変化からキャリア濃度を算出できます。
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注意点:
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ショットキー接合やMOS構造を形成する必要があるため、試料作製に手間がかかります。
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表面準位や界面準位の影響を受けるため、測定結果の解釈に注意が必要です。
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特定の領域(空乏層)のキャリア濃度を評価するのに適しています。
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その他の測定方法
ラマン分光法 (Raman Spectroscopy)
非破壊でキャリア濃度を評価できる手法です。特に極性を持つ化合物半導体(GaAs, GaN, SiCなど)において、プラズモンとフォノンが結合したL+モードのピークシフトからキャリア濃度を推定します。
測定の注意点
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試料の均一性: キャリア濃度は試料の場所によって異なる場合があるため、測定箇所や試料の均一性を考慮する必要があります。
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温度: 半導体のキャリア濃度は温度に依存するため、測定時の温度管理が重要です。
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表面の影響: 表面の酸化膜や汚染などが測定結果に影響を与える可能性があります。
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非破壊性: 測定方法によっては、電極作製などの試料加工が必要となり、元の特性を変化させる可能性があります。非破壊的な手法(ラマン分光法など)も検討することが重要です。