
スナバは、スイッチング回路などで発生する高周波ノイズ(リンギング)を抑制し、EMC(電磁両立性)対策として有効な回路です。
EMC対策におけるスナバ回路の役割は、主に以下の2点です。
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サージ電圧の抑制: スイッチング素子がオフになった際に、コイルなどに蓄えられたエネルギーが放出されて高い電圧(サージ電圧)が発生することがあります。スナバ回路は、このサージ電圧を吸収・抑制することで、素子の破壊を防ぎます。
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高周波ノイズの抑制: スイッチング動作の際に、寄生インダクタンスやキャパシタンスと共振して、波形が急峻な振動(リンギング)を起こすことがあります。このリンギングは、高周波ノイズの発生源となります。スナバ回路は、抵抗を加えることでこのリンギングのエネルギーを消費させ、ノイズを低減します。
スナバ回路の構成は、一般的に抵抗(R)とコンデンサ(C)の直列回路、またはダイオードと組み合わせて構成されます。
EMC対策は、スナバ回路だけでなく、以下の様々な手法と組み合わせて総合的に行うことが重要です。
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フィルタ: ノイズをフィルタで除去する。
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シールド: ノイズの電磁的な影響を遮断する。
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部品レイアウト: ノイズの発生源となる部分と、影響を受けやすい部分を離すなど、基板のレイアウトを工夫する。
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配線パターン: 配線の引き回しを短くしたり、適切なGNDのパターンを設計したりする。
スナバ回路は、特に誘導性負荷(モーターやトランスなど)をスイッチングする回路や、スイッチング電源などで効果を発揮します。