
スパイラルダイポール形送電素子による伝送路を構築し、共鳴型ワイヤレス電力伝送技術による道路走行中の充電システム
その技術は、電気自動車(EV)が道路を走行しながら充電を可能にする革新的なシステムとして研究・開発が進められています。
これは、従来の充電スタンドでの停車が不要になるため、EVの利便性向上、バッテリー容量の削減、そして再生可能エネルギーの効率的な活用に大きく貢献すると期待されています。
システムの概要
このシステムは、「スパイラルダイポール形送電素子」と「共鳴型ワイヤレス電力伝送(WPT)」技術を組み合わせたものです。
1. 共鳴型ワイヤレス電力伝送(WPT)
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技術: 磁界共鳴(磁気共振)方式とも呼ばれます。送電側と受電側のコイルが同じ周波数で共振する現象を利用し、離れた位置にあるデバイス間で高効率に電力を伝送します。
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特徴: 従来の電磁誘導方式に比べ、送電側と受電側の位置ずれ(エアギャップ)に強く、道路走行中のようなある程度の距離やズレがあっても安定して給電できるのが特長です。
2. スパイラルダイポール形送電素子
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送電路の構成: 道路の路面に埋め込まれる送電側の素子として、**スパイラルダイポール(渦巻き状のダイポールアンテナ)**が考案されています。
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メリット:
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工事の容易さ: スパイラルダイポールは薄型で構造がシンプルであり、道路への埋め込み工事が容易になるとされます。
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広範な充電領域: この形状と配置により、従来のコイル方式に比べて充電領域(給電エリア)が広くなり、車両が車線を走行中に多少左右にずれても安定した給電が可能です。
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高効率: 共鳴を利用することで高い電力伝送効率を実現します。
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走行中充電システムのメリット
この技術が実用化されると、EVの利用環境とインフラに大きな変革をもたらします。
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利便性の劇的向上 🚀: 運転中に自動で充電されるため、充電のための停車作業や時間確保が不要になります。
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バッテリー容量の削減: 常に「ちょこちょこ充電」できるため、EVに大容量バッテリーを積む必要がなくなり、車両コストの低減や車体の軽量化に繋がります。
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電力系統の効率化: 太陽光発電などが盛んな日中に充電が可能になるため、夜間にEVが一斉充電することで発生しがちな電力系統への負荷(ダックカーブ現象)を分散し、再生可能エネルギーの活用を最大化できます。