トーテムポールPFCとSJ-MOSFETの進化

**トーテムポールPFC(TP-PFC)**は、従来のブリッジダイオードを用いたPFC回路に比べ、ダイオードによる電圧降下損失を極限まで減らせる「ブリッジレスPFC」の代表格です。

2026年現在の高効率電源設計(80 PLUS Titanium等)において、この回路とスーパージャンクション(SJ)MOSFET、あるいは次世代の**GaN(窒化ガリウム)**の組み合わせは非常に重要なトピックです。


1. トーテムポールPFCの基本構造

回路は大きく「高速スイッチング脚(High-frequency leg)」と「商用周波数脚(Low-frequency leg)」の2つで構成されます。

  • 高速スイッチング脚: 入力電流を制御するため、高周波(数十kHz〜数百kHz)で動作します。

  • 商用周波数脚: 電源電圧の正負(50/60Hz)に合わせて整流の向きを切り替えます。


2. SJ-MOSFET(CoolMOS / PrestoMOS)を適用する際の課題

トーテムポールPFCには「CCM(連続モード)」と「CrM/TCM(臨界/遷移モード)」の2つの制御方式がありますが、SJ-MOSFETを使用する場合は特に注意が必要です。

最大の難関:ボディダイオードのリカバリ

CCM(連続モード)で動作させる場合、高速スイッチング脚のMOSFETは「ハードスイッチング」となります。

  • SJ-MOSFETの問題: SJ構造の寄生ダイオードは、リカバリ電流 (Qrr) が非常に大きく、ハードスイッチングで使用すると膨大な損失が発生し、最悪の場合は素子が破壊されます。

  • 解決策: * GaN / SiC の採用: リカバリ損失がほぼゼロなため、CCMではこれらが主役です。

    • SJ-MOSFETの活用(CrM方式): 電流がゼロになるタイミングでスイッチングする「臨界モード(CrM)」であれば、SJ-MOSFETでも低損失に運用可能です。

CoolMOS™ と PrestoMOS™ の使い分け

  • CoolMOS™ (CFD7/8等): ボディダイオードを強化した「高速リカバリ版」であれば、CrM方式のトーテムポールPFCにおいて、軽負荷から定格まで非常に高い効率を実現できます。特に $Q_g$ の低さが制御の応答性に寄与します。

  • PrestoMOS™: モーター駆動だけでなく、小型のPFC電源にも適しています。特に「ダイオードのソフトリカバリ特性」により、スイッチング時のノイズ(EMI)が抑えやすいため、民生品での設計難度を下げてくれます。


3. 最新の設計トレンド(2026年)

最近では、SJ-MOSFETの低コスト性と、ワイドバンドギャップ半導体(GaN/SiC)の高効率性をハイブリッドに活用する設計が増えています。

  1. 商用周波数脚(低速側)への採用: 低速側はスイッチング損失が無視できるため、オン抵抗が圧倒的に低い CoolMOS™ を配置し、導通損失を最小化するのが定石です。

  2. マルチフェーズ化: SJ-MOSFETを使いつつ大電力を扱うため、複数のPFC回路を並列に動かし、位相をずらすことでリプルを打ち消す手法が主流です。

  3. GaNとの「棲み分け」: * 〜1kW程度: コスト重視でSJ-MOSFET(CrM制御)。

    • 1kW超・高密度: 小型化とCCM動作を優先しGaN。


まとめ:トーテムポールPFCでの選択基準

項目 SJ-MOSFET (CoolMOS / PrestoMOS) GaN / SiC FET
制御方式 主に CrM (臨界モード) CCM (連続モード) が可能
コスト 安価で実績が豊富 高価だが周辺部品を小型化できる
効率 高い(ただし制御が複雑になる傾向) 極めて高い(特に高周波域)
主な用途 家電、PC電源、汎用アダプタ サーバー、ハイエンドゲーミングPC、EV

回路の設計において、**「ピーク効率を狙いたい(Titanium認証など)」のか、「コストとノイズのバランスを取りたい」**のか、どちらの優先度が高いでしょうか?それによって推奨される制御ICやMOSFETのグレードが変わってきます。

 

 

出典:Google Gemini

 

 

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