SIGLENT (シグレント)SDS7000A シリーズ デジタル・オシロスコープ

プリンテッド(プリンタブル)エレクトロニクスとは、従来の半導体製造技術(フォトリソグラフィなど)に代わり、インクジェット印刷スクリーン印刷といった印刷技術を用いて、電子回路や電子デバイスを製造する技術体系全般を指します。

この技術は、「必要な材料を、必要な場所に、必要な量だけ」堆積できるため、省資源・低コストで、かつ**フレキシブル(柔軟性)**な電子デバイスの製造を可能にする次世代のテクノロジーとして注目されています。


 

1. プリンテッドエレクトロニクスの主要技術要素

 

プリンテッドエレクトロニクスは、主に以下の3つの要素技術によって構成されています。

 

1.1. 印刷技術 (Printing Methods)

 

回路パターンを描画するために、様々な種類の印刷技術が用いられますが、特に重要なのは以下の手法です。

印刷技術 特徴 用途の例
インクジェット印刷 非接触で微小な液滴を正確に噴射するデジタルプロセス。微細な回路や高精度の積層に適しており、材料の歩留まりが最も高い 有機ELディスプレイ、TFT(薄膜トランジスタ)、微細配線
スクリーン印刷 最も古くから使われる手法で、版(スクリーン)に開けた穴を通してインクを押し出す。比較的厚い膜大面積の印刷、低コストでの製造に適する。 配線、電極、太陽電池(導電ペースト)
グラビア印刷 / フレキソ印刷 版にインクを転写して印刷する手法。高速なロール・トゥ・ロール(R2R)製造に適しており、大量生産性が高い。 大面積の導電性フィルム、RFIDアンテナ

 

1.2. 機能性インク(材料)

 

従来の金属配線(銅など)の代わりに、印刷が可能な液体状の機能性インクが使用されます。

  • 導電性インク: 銀ナノ粒子、カーボンナノチューブなどを含むインク。乾燥・焼成することで、電子回路の配線や電極を形成します。

  • 半導体インク: 有機半導体材料などを含むインク。トランジスタセンサーの活性層を形成します。

  • 絶縁性インク: 回路間の層間絶縁膜を形成します。

 

1.3. 基板(サブストレート)

 

従来のシリコンやガラス基板だけでなく、印刷プロセスに対応できる柔軟な基板が利用されます。

  • プラスチックフィルム(PET, PEN, PIなど): 柔軟で軽量な電子デバイスの実現を可能にします。

  • 紙、繊維: ウェアラブルデバイスや電子ペーパーなど、新しい応用分野を切り開きます。


 

2. 従来の半導体製造との違いとメリット

 

プリンテッドエレクトロニクスは、主にフォトリソグラフィ技術に依存する従来の製造プロセスと比較して、根本的に異なる特徴とメリットを持ちます。

比較項目 プリンテッドエレクトロニクス 従来のフォトリソグラフィ
プロセス 印刷(アディティブ:必要な場所に追加) エッチング(サブトラクティブ:不要な部分を除去)
材料利用効率 高い(必要な材料のみを使用するため、省資源 低い(大部分の材料をエッチングで除去するため、廃棄物が多い
基板 フレキシブル基板、大面積基板にも対応 シリコン、ガラスなど硬質の基板が主
コスト 低コスト(工程が少ない、設備投資を抑えられる) 高コスト(複雑な工程、クリーンルーム必須)
温度 低温プロセスが可能 高温プロセスが必須

これらのメリットにより、フレキシブルディスプレイウェアラブルセンサー低コストなRFIDタグフレキシブル太陽電池など、新しい形態の電子デバイスの実現を可能にしています。

 

 

下記資料では「プリンテッド(プリンタブル)エレクトロニクスの技術」について詳しく解説されています。
https://www.atx-research.co.jp/contents/printed-electronics

 

 

 

 

 

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