インピーダンス・アナライザ  TECHMIZE 型式:TH2851-130【10Hz-130MHz】

表面マイクロストリップラインの特性インピーダンスを計算する方法は、いくつかのパラメータに基づいて行われます。手計算による近似式も存在しますが、今日では専用の計算ツールやシミュレーションソフトウェアを用いるのが一般的です。

 

計算に必要なパラメータ

 

特性インピーダンス を計算するためには、以下の物理パラメータが必要になります。

  • 基板の比誘電率 (): 基板材料(FR-4など)の誘電率です。

  • 基板の厚さ (): 配線が敷かれている基板の厚さです。

  • 配線の幅 (): マイクロストリップラインの幅です。(トラック)

  • 配線の厚さ (): 導体(銅箔など)の厚さです。

これらのパラメータが特性インピーダンスに大きく影響します。一般的に、配線幅 を広くするとインピーダンスは低下し、狭くすると上昇します。

 

計算式(近似式)

 

マイクロストリップラインの特性インピーダンスを厳密に計算するには複雑な電磁界解析が必要ですが、簡略化された近似式がいくつか存在します。配線幅と基板厚の比率 によって、以下の式が用いられることがあります。

   

ここで、 は実効誘電率です。マイクロストリップラインでは、電界の一部が基板内を、一部が空気を伝わるため、実効的な誘電率を考慮する必要があります。

実効誘電率 は以下の式で近似されます。

   

これらの式は簡略化されたものであり、配線の厚さ () の影響は考慮されていません。より精度の高い計算には、より複雑な補正項が含まれる式が用いられることがあります。

 

オンライン計算ツール

 

手計算は複雑であり、設計の際にはパラメータを少し変更するだけで結果が大きく変わるため、専用の計算ツールを使用するのが一般的です。

  • オンライン計算サイト: 基板の比誘電率、基板厚、配線幅などのパラメータを入力するだけで、特性インピーダンスや実効誘電率を計算してくれるウェブサイトが多数存在します。

   例) https://keisan.casio.jp/exec/user/1223892753 (出典:生活や実務に役立つ計算サイト)

   
  • CAD/EDAソフトウェア: 基板設計に用いられるCAD/EDAツールには、特性インピーダンスを計算・制御するための機能が搭載されています。配線幅を調整して目標のインピーダンスに合わせる「インピーダンスマッチング」の設計を支援してくれます。

これらのツールは、より正確な計算結果を提供し、設計作業の効率化に貢献します。設計の初期段階で大まかな値を把握するために手計算を使うこともありますが、最終的な設計ではツールを用いることが推奨されます。