六フッ化タングステン(Tungsten Hexafluoride, WF6)は、半導体製造において**「隠れたヒーロー」と称されるほど重要な役割を果たしています。これは、主にタングステン (W) の薄膜を形成するための原料ガス**として利用されるためです。
💡 半導体製造におけるWF6の役割
WF6の最大の用途は、化学気相成長(CVD: Chemical Vapor Deposition)法を用いたタングステン膜の成膜です。タングステンは、その低抵抗率と高い融点から、半導体デバイスの配線やコンタクト(接触)部分に欠かせない材料です。
1. コンタクトプラグの形成
-
役割: トランジスタ層(シリコン)と配線層(アルミや銅)を電気的に接続する、縦方向の接続部分(コンタクトホール)を埋めるために使用されます。
-
プロセス: WF6ガスを還元性ガス(通常は水素 (H2) やシラン (SiH4))とともに基板上に導入し、化学反応によってコンタクトホール内にタングステンを堆積させます。
WF6 + 3H2 → W + 6HF -
重要性: コンタクトプラグの抵抗が高すぎると、信号の伝達速度が低下し、デバイスの性能が劣化します。タングステンはアルミや銅への密着性が高いうえ、低抵抗であるため、微細化された高密度な回路において信頼性の高い垂直接続を実現します。
2. 配線層(メタル層)への応用
-
より微細なプロセスノードでは、従来のアルミニウム配線に代わり、タングステンをバリアメタル(障壁金属)や一部の配線として使用することで、電気移動(エレクトロマイグレーション)耐性の向上と、配線抵抗の低減が図られます。
🧪 WF6 の特長
WF6 がこの用途に選ばれる理由は、その化学的な特性にあります。
-
高い蒸気圧: 室温でガス(常温では液体)であるため、CVD装置内で容易にガス供給および流量制御が可能です。
-
高い選択性: 適切なプロセス条件(温度、圧力、反応ガス)を選ぶことで、特定の材料(例:シリサイド層)の上にのみタングステンを選択的に堆積させる選択的タングステン成膜が可能となり、工程の簡略化に役立ちます。
-
高いコンフォーマリティ: コンタクトホールの底面だけでなく、側壁にも均一な厚さで薄膜を形成できる埋め込み性(カバレッジ)が高いため、微細な構造への対応に優れています。
WF6 は、メモリチップ(DRAM、NAND)やロジックLSI(CPU、GPU)など、あらゆる高性能半導体チップの高速化と信頼性を支える上で不可欠な、まさに「隠れたヒーロー」と言えます。
![]() |
SSG6M80Aシリーズ ・Coming soon
|
![]() |
![]() |
![]() |
SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Coming soon
|
![]() |
SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features
|
![]() |
SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 ・Coming soon |










