
自動平衡ブリッジの四端子対構成をオペアンプを使って実現する場合、ウィーンブリッジやケルビンダブルブリッジの原理が応用できます。これらの回路は、未知のインピーダンスを測定するために使用され、オペアンプを用いることでブリッジの平衡状態を自動的に調整し、高精度な測定を可能にします。
基本原理
自動平衡ブリッジの核心は、ブリッジの不平衡電圧を検出し、その電圧をゼロにするようにフィードバックをかけることです。オペアンプはこのフィードバックループを構築するのに理想的なコンポーネントです。
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入力:オペアンプの入力(非反転端子と反転端子)にブリッジの対角線から不平衡電圧を印加します。
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増幅とフィードバック:オペアンプはこの電圧を増幅し、その出力がブリッジの平衡を崩している特定の要素(例えば、可変抵抗や可変コンデンサ)を制御します。
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自動調整:フィードバックループが正常に機能する場合、オペアンプは不平衡電圧がゼロになるまで出力を調整し続けます。これにより、ブリッジは自動的に平衡状態に達します。このとき、制御された要素の値が未知のインピーダンスの値と直接関連付けられます。
四端子対構成の利点
四端子対構成(4端子測定法)は、特に低インピーダンスの測定において、接触抵抗やリード線の抵抗の影響を排除できるため、高精度な測定が可能です。
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2本の電流リード:電流を流すためのリード線。
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2本の電圧リード:電圧を測定するためのリード線。
この構成により、電流リードと電圧リードが分離されるため、電圧測定端子に電流が流れず、電圧降下の影響を無視できます。オペアンプを組み込んだ自動平衡ブリッジでは、この四端子対構成を簡単に統合でき、安定した測定が実現します。
実装例(ケルビンダブルブリッジ)
ケルビンダブルブリッジは、特に低抵抗値の精密測定に用いられます。この回路にオペアンプを組み込むことで、ブリッジの平衡を自動化できます。
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不平衡電圧の検出:ブリッジの中央部分にオペアンプの入力端子を接続し、ブリッジの不平衡電圧を検出します。
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フィードバック回路:オペアンプの出力は、ブリッジ内の可変抵抗器や可変コンデンサを制御する回路(例えば、DACやデジタルポテンショメータ)に接続されます。
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自動平衡:オペアンプが検出した不平衡電圧をゼロにするように、フィードバック回路が可変素子の値を調整します。ブリッジが平衡に達したとき、可変素子の値から未知のインピーダンス(抵抗)が計算されます。
次の資料は四端子対構成の概念を理解するのに役立ちます。
- インピーダンス測定器の測定原理と使用上の注意点 出展:応用物理 第70巻 第11号(2001)
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/70/11/70_11_1340/_pdf
- 代表的なインピーダンス測定手法3選 出展:EMC村の民 エンジャーさん
- https://engineer-climb.com/impedance-measurement/
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