酸化ガリウム(Ga2O3)は、現在普及が進んでいるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を超える次世代の「ウルトラワイドバンドギャップ(UWBG)半導体」として非常に期待されています。

特に**α型Ga2O3**は、京都大学発のベンチャー企業であるFLOSFIA(フロスフィア)を中心に日本が世界をリードしている分野です。その特徴と現状を整理します。


1. α-Ga2O3 の主な特徴とメリット

酸化ガリウムには5つの結晶構造(alpha, beta, gamma, delta, epsilon)がありますが、alpha型は以下の点で優れています。

  • 圧倒的な高耐圧・低損失

    • バンドギャップが約 5.3 eV と、SiC(約 3.3 eV)や beta型酸化ガリウム(約 4.5 eV)よりも大きく、絶縁破壊電界強度が極めて高いです。

    • これにより、同じ耐圧のデバイスをより薄く・高濃度で作れるため、電力損失(オン抵抗)を劇的に低減できます。

  • 低コストな製造プロセス(ミストCVD法)

    • alpha型はサファイア基板上に結晶成長させることができます。サファイアはLED向けに安価で大口径な基板が流通しているため、SiC よりも低コストなデバイス製造が期待されています。

  • 異種材料との親和性

    • alpha型はコランダム構造(サファイアと同じ構造)を持つため、他の酸化物材料(酸化イリジウムなど)と組み合わせて、従来困難だったp型半導体層を形成しやすいという利点があります。


2. パワーデバイスとしての性能比較

理論的な性能指標である「バリガ指数(BFOM)」で比較すると、そのポテンシャルの高さがわかります。

特性 シリコン (Si) SiC GaN α-Ga2​O3​
バンドギャップ (eV) 1.1 3.3 3.4 5.3
絶縁破壊電界 (MV/cm) 0.3 2.5 3.3 約 10
バリガ指数 (Si=1) 1 440 1130 約 6000

3. 実用化に向けた課題と最新動向(2026年時点)

長年の課題であった「p型層の欠如」と「熱伝導率の低さ」に対して、大きな進展が見られています。

  • p型半導体の実現: 2025年、FLOSFIAが酸化イリジウム系材料を用いることで、酸化ガリウムでは不可能と言われていた「p型層」の形成に成功しました。これにより、ショットキーバリアダイオード(SBD)だけでなく、MOSFETなどの高効率なトランジスタ構造が可能になっています。

  • 本格量産の開始: FLOSFIAは2025年末に4インチウェハの製造技術を確立し、2026年度以降の本格量産開始を計画しています。当初は家電や産業用電源のSBDから導入が進む見込みです。

  • 放熱対策: 酸化ガリウム自体は熱を通しにくい性質がありますが、極薄のチップを放熱性の高い金属フレームに直接接合するなどのパッケージング技術により、この欠点を補っています。


4. 主な応用分野

  • EV(電気自動車): オンボードチャージャーやインバータの小型・高効率化。

  • データセンター: サーバー用電源の省電力化。

  • 再生可能エネルギー: 太陽光発電などのパワーコンディショナの損失低減。


 

 

 

出典:Google Gemini

 

 

関連:
  • GaN/SiCデバイスのC–V測定とは

    GaN/SiCデバイスのC–V測定とは ~次世代パワーデバイスの電気特性を非破壊で評価する基本手法~ ■ 定義 GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)を材料としたパワー半導体デバイスに対して、静電容量とバイアス電圧の関係(C–V特性)を測定する手法を「C–V測定」と呼びます。 この手法により、デバイス内部のドーピング分布、空乏層の広がり、界面準位、しきい値電圧などの重要パラメータを非破壊かつ[…]

 

  • パワーレール・プローブを使用する理由

    パワーレール・プローブを使用する主な理由は、DCパワーレールのごくわずかなリップルやノイズを高精度で測定するために最適化されているからです。 従来の受動プローブや一般的な差動プローブと比較して、パワーレール・プローブには次のような利点があり、パワーインテグリティ(PI)測定に不可欠です。   パワーレール・プローブの主な利点     1. 非常に低いノイズフロア &n[…]

 

  • パワーレール DC電源の上に乗っている微小信号を測定 SAP4000P

    DC電源レール(パワーレール)に重畳している**微小信号(リップル、ノイズ、トランジェントなど)**を正確に測定するには、大きな直流電圧成分(DCオフセット)を適切に扱い、測定器やプローブのノイズの影響を最小限に抑えるための特別な手法が必要です。 主に、オシロスコープと専用プローブを用いた測定が一般的です。   1. 測定の基本戦略   微小信号を正確に測定するための重要なポイ[…]

 

 

 

PR:

 

SDS8000Aシリーズ オシロスコープ

特長と利点
4チャンネル + 外部トリガーチャンネル
アナログチャンネル帯域幅:最大16GHz(8/13/16GHz)
リアルタイムサンプリングレート:最大40GSa/s(全チャンネル同時)
12ビットADC
低ノイズフロア:16GHz帯域幅で176μVrms
SPOテクノロジー
・ 波形キャプチャレート:最大200,000フレーム/秒
・ 256段階の波形輝度と色温度表示をサポート
・ 最大2Gポイント/チャンネルのストレージ容量
・ デジタルトリガー

・Coming soon

 

SSG6M80Aシリーズ
マルチチャネル・コヒーレント・マイクロ波信号発生器
主な特長
・最大周波数 13.6 GHz/20 GHz
・出力周波数分解能 最大0.001 Hz
・位相ノイズ < -136 dBc/Hz @ 1 GHz、オフセット 10 kHz(測定値)
・コヒーレントモード、搬送周波数 = 10 GHz、周囲温度変動 ±2℃、観測時間 5時間、位相変動 < 1.5°
・チャンネル間の周波数、振幅、位相を個別に調整可能。単一デバイスチャンネル同期および複数デバイスチャンネル位相同期をサポート。位相メモリ機能搭載
・アナログ変調、パルス変調(オプション)

・Coming soon

 

 

SSA6000A Series Signal Analyzer

Main Features
・Measurement Frequency Range: 2 Hz ~ 50 GHz
・IQ Analysis Bandwidth: 1.2 GHz
・Real-time Spectrum Analysis Bandwidth: 400 MHz
・Phase Noise: -123 dBc/Hz @ 1 GHz, 10 kHz offset
・DANL: Less than -165 dBm/Hz
・Demodulation and analysis of signals from multiple mobile communication standards including 5G NR, LTE/LTE-A, WLAN, and IoT, as well as wireless connections.

・Coming soon

 

SNA6000A Series Vector Network Analyzer

Key Features
・Frequency Range: 100 kHz ~ 50 GHz
・Dynamic Range: 135 dB
・IF Bandwidth Range: 1 Hz ~ 10 MHz
・Output Power Setting Range: -60 dBm ~ +20 dBm
・Supports 4-port (2-source) S-parameter measurements, differential (balanced) measurements, time-domain analysis, scalar mixer measurements, etc.
・Optional accessories include electronic calibration kits, switch matrix, and mechanical switches.
・Coming soon

 

 

 

お礼、

T&Mコーポレーションは設立5年ですが、おかげさまで業績を着実に伸ばしており、
オフィスを港区芝(最寄り駅浜松町)に移転し、スペースも拡大いたしました。
欧米計測器メーカーが値上げをする中、(110GHz VNAでは1億円超え)
弊社では若干の値下げをさせていただき、Ceyear社110GHz VNAは5000万円以下です。
高額な設備投資を伴う製品開発では、市場投入までの時間(Time to Market)の短縮、「スピード感」が求められます。
電子計測器業界の「ゲームチェンジャー」として、高性能/高信頼/低価格/短納期を武器に
T&Mコーポレーションはお客様のご予算を最大限生かす製品群をご提案させていただいております。