SIGLENT(シグレント)SDS3000X HDシリーズ デジタル・オシロスコープ

パワーレール・プローブを使用する主な理由は、DCパワーレールのごくわずかなリップルやノイズを高精度で測定するために最適化されているからです。

従来の受動プローブや一般的な差動プローブと比較して、パワーレール・プローブには次のような利点があり、パワーインテグリティ(PI)測定に不可欠です。


 

パワーレール・プローブの主な利点

 

 

1. 非常に低いノイズフロア

 

  • パワーレール・プローブは、1:1(またはそれに近い)の減衰比を持つことが多く、プローブ自身のノイズ(付加ノイズまたはノイズフロア)を最小限に抑え、高感度を実現します。

  • ミリボルト (mV) オーダー、場合によっては数百マイクロボルト (μV) の微小なリップルやノイズを高精度で捉えることができます。受動プローブでは、通常10:1100:1の減衰比のために、測定対象の信号よりプローブやオシロスコープのノイズが大きくなり、正確な測定が難しくなります。

 

2. 広いDCオフセット補正範囲

 

  • 近年、デジタル回路の電源電圧(DC レール電圧)は5V3.3V1.8V1.0Vなどと低くなっていますが、ノイズやリップルの測定対象は非常に小さなAC成分です。

  • パワーレール・プローブは、DCオフセットを内部で補正(または除去)する機能(±60V)程度の広い範囲)を備えていることが多く、オシロスコープの垂直レンジを小さなACリップル成分の観測に集中させることができます。これにより、オシロスコープのダイナミックレンジの損失を防ぎ、微小な信号の測定を容易にします。

 

3. 広帯域かつ低負荷

 

  • CPUやFPGAなどの高速デジタル回路の電源ノイズには、GHz級の高周波ノイズ成分(スパイクノイズなど)が含まれるため、パワーレール・プローブは広帯域1GHz~4GHz超)に対応しています。

  • また、回路への負荷が低い設計になっているため、プローブの接続がDCレールに与える影響を最小限に抑えられます。

 

まとめ

 

受動プローブは一般に低コストで広い電圧範囲を測定できますが、高減衰比によるノイズ増加や、十分な帯域幅の欠如から、微小なDCレールリップルの高精度測定には不向きです。差動プローブはDCオフセット除去能力を持つものもありますが、パワーレール・プローブは特に低ノイズ性能とDCオフセット補正範囲において、パワーインテグリティ測定のために特化した優位性を持っています。

 

 

製品紹介:SIGLENT社 SAP4000P

パワーインテグリティ測定用シグレント・パワーレールプローブSAP4000P

 

 

https://tm-co.co.jp/SAP4000P_UserManual