高電圧に耐えるように設計されたコイルは、主に高電圧リアクトルや高電圧トランス(変圧器)として、高い電圧がかかる環境で安全かつ安定して動作するように、絶縁性の強化と部品間の距離の確保に重点を置いて設計されています。
🏗️ 高電圧コイル/リアクトルの設計特徴
高電圧に耐えるコイルの設計で最も重要となるのは、コイルの巻線間や、巻線とコア(鉄心)、外部環境との間の**絶縁破壊(アーク放電)**を防ぐことです。
1. 強化された絶縁システム
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絶縁材料の選定: 巻き線には、耐電圧が高く、耐熱性にも優れた特殊な絶縁被覆を持つ銅線(例:三層絶縁電線など)が使われます。
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含浸・モールド: 巻線完了後、コイル全体を絶縁樹脂で含浸(含浸ワニス)したり、完全に覆い固める(モールド)することで、巻線間の隙間や外部からの湿気の侵入を防ぎ、絶縁性を大幅に強化します。
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バリアの利用: 高電圧の巻線と低電圧の巻線(トランスの場合)、または巻線とコアとの間に、絶縁テープやバリアを厚く挟み込み、物理的な絶縁距離を確保します。
2. 絶縁距離(沿面距離・空間距離)の確保
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巻線間の距離: 巻線同士が密着しすぎると電位差が集中してアーク放電のリスクが高まるため、高電圧コイルでは、適切な層間絶縁材を用いて巻線間の距離を確保します。
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基板上での配置: PCB(プリント基板)に実装する場合、高電圧がかかる端子や配線パターン同士の間隔(沿面距離や空間距離)を、規定された安全基準に基づいて広く空ける必要があります。ピンを間引く(抜きピン)ことで、高電圧ピン間の距離を確保することもあります。
3. 特殊な巻線構造(トランスの場合)
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絶縁型トランス: AC電源や高い電位差を持つ回路間で、電気的に直接つながっていない状態(ガルバニック絶縁)を実現するために使用されます。これにより、片側の電圧変動やノイズがもう一方に伝わるのを防ぎ、人や機器を保護します。
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シールド: 1次巻線と2次巻線の間にファラデーシールド(接地された導体)を挿入することで、高周波ノイズや容量性結合によるノイズの伝達を低減します。
🏭 主な用途
高電圧コイル、または高耐圧のトランスやリアクトルは、大電力や高い絶縁が求められる分野で不可欠です。
| 種類 | 役割 | 主な利用分野 |
| 高電圧トランス | 交流電圧の昇圧・降圧と、ガルバニック絶縁の提供。 | X線装置、ネオン管、高電圧電源、絶縁型DC/DCコンバータ。 |
| 昇圧リアクトル | インダクタンスを利用して急激な電流変化を抑え、昇圧を行う。 | 電気自動車 (EV/HEV) の昇圧回路、太陽光発電のパワーコンディショナー。 |
| 高電圧リアクトル | 系統のノイズフィルタリング、高調波抑制、力率改善。 | 電力系統、大規模工場、産業機器の高周波・大電流回路。 |
| パルストランス | 高速で高電圧のパルス信号を伝送し、回路間の絶縁を保つ。 |
ゲートドライバ回路(パワー半導体を駆動する部分)など。 |
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