高電圧抵抗器(高耐圧抵抗器)は、印加される電圧が高くても故障せず、安定した抵抗値を示すように特別に設計された電子部品です。
高電圧回路では、単に電流を制限するだけでなく、電圧の検出(分圧)や余剰電荷の放電といった重要な役割を担います。
⚡ 高電圧抵抗器の主な特徴
高電圧抵抗器の設計は、絶縁破壊と**発熱(定格電力)**の両方に対処することに重点が置かれています。
1. 高い耐電圧性能と絶縁性の確保
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長い抵抗体パターン: 一般的な抵抗器に比べ、抵抗体を長くとり、電圧がかかる際の電圧勾配(単位長さあたりの電位差)を低減させます。これは、電位差が局所的に集中して絶縁破壊が起こるのを防ぐためです。チップ抵抗器では、抵抗体を蛇行させるサーペンタインパターンなどが採用されます。
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特殊な材料と構造: 抵抗体や保護膜に、絶縁破壊強度が高い特殊なペースト(厚膜抵抗器の場合)や材料が使用されます。また、リード線付きの抵抗器では、端子間の距離を長く確保するなど、部品表面を伝って放電するのを防ぐ設計(沿面距離の確保)が行われます。
2. 優れた電圧係数 (VCR)
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電圧係数(VCR: Voltage Coefficient of Resistance): 抵抗器に印加される電圧が変化したときに、抵抗値がどれだけ変化するかを示す値です。
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高電圧抵抗器は、電圧が大きく変化しても抵抗値の変動が少ないよう、この電圧係数が非常に小さいことが求められます。特に高精度な電圧検出回路で重要となります。
3. 高い定格電力
高電圧を扱う回路は、必然的に大きな電力(P = V x I または P = V2 / R)を扱うため、抵抗器自身がその熱に耐え、安定して放熱できる必要があります。高電圧抵抗器は、定格電力も高く設定されているものが多くあります。
🛠️ 主な種類と用途
高電圧抵抗器は、その用途や必要な精度に応じて、様々な種類があります。
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
| 高電圧厚膜抵抗器 | 厚膜印刷技術とレーザートリミングにより、高抵抗と高耐電圧を実現。 | X線電源、レーザー、プラズマディスプレイ用電源、複写機など、高電圧電源。 |
| 高電圧巻線抵抗器 | 抵抗線を巻き付け、特殊な不燃性塗料などでコーティング。 | 大電力の負荷、放電回路など、高い電力容量と耐熱性が求められる場所。 |
| 高電圧分圧器(アレイ) | 複数の抵抗素子を同時に形成し、抵抗比を極めて高精度に調整したもの。 | 高精度な高電圧検出、測定機器、医療機器。 |
| メタルグレーズ抵抗器 | 金属酸化物とガラスを混合して焼結させた厚膜タイプで、サージやパルスに強い。 | 一時的な高電圧(サージ/パルス)がかかる回路。 |
💡 高電圧抵抗器の回路での役割
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分圧回路: 高い電圧を、マイコンなどの制御回路が扱える低い電圧レベルに正確に分割し、電圧値を検出するために使われます(例: EVのバッテリー電圧監視)。
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放電回路: 大容量のコンデンサーなどに蓄積された高電圧を、安全に接地(アース)に放電させ、感電や機器の損傷を防ぐために使われます(例: インバーターのDCリンクコンデンサーの放電)。
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電流制限/保護: 回路の初期突入電流を制限したり、故障時に過電流から回路を保護したりする役割も担います。
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