「212-Gb/s Driver-less SiPh Modulator」は、データセンターや光ネットワークの次世代技術において非常に重要な、超高速・低消費電力の光変調器に関する最新の研究開発成果を指します。
これは、NTTグループが、IOWN構想の基盤である光電融合デバイスを実現するために開発している最先端の技術の一つです。
💻 212-Gb/s Driver-less SiPh Modulatorの概要
この技術が目指すのは、「変調器の高速化」と「低消費電力化」を同時に達成することです。
1. 212-Gb/s の超高速化
これは、単一の波長(光のキャリア)あたり**212 ギガビット毎秒(Gb/s)**という非常に高いデータ転送速度を実現することを意味します。
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技術的な背景: この速度は、主に高次変調方式と高速なデバイス応答によって達成されます。
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**PAM4(4値パルス振幅変調)**などの変調方式に加え、NTTが開発している$\text{85 \text{Gbaud}}$(毎秒 850億シンボル)といった高速なシンボルレートを実現する技術が組み合わされています。
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2. Driver-less(ドライバ不要)の低消費電力化
これがこのデバイスの最も革新的な点であり、IOWN構想の核となる電力削減に直結します。
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従来の課題: 従来の光変調器は、チップレベルの電気信号を光信号に変換・変調する際、信号を十分な電圧・電力レベルまで増幅するために、高出力のドライバーアンプ(Driver Amplifier: DRV)を必要としました。このドライバーがネットワーク全体の消費電力の大部分を占め、発熱も大きかったのです。
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Driver-lessによる解決:
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この変調器は、駆動電圧を極めて低く抑えることに成功しています(例:$\text{0.5 \text{V}}_{\text{pp}}$以下)。
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これにより、信号を増幅するドライバー回路が不要になり、GPUやLSI(大規模集積回路)の出力信号を直接光変調器に入力できるようになります。
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3. SiPh Modulator(シリコンフォトニクス変調器)
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SiPhの採用: 変調器にシリコンフォトニクス(SiPh)技術を採用することで、電子回路(CMOS)と同じプロセスで光回路を形成し、小型化と量産性、そして光電融合を実現します。
🎯 AIデータセンターへの影響と重要性
この技術は、光ディスアグリゲーティッドコンピューティング(ODC)とAIデータセンターの進化にとって不可欠です。
1. 圧倒的な電力効率
ドライバーが不要になることで、データセンターにおける光通信の消費電力を劇的に削減できます。これは、IOWNが掲げる「電力効率100倍」の達成に向けた最大のブレークスルーの一つです。
2. Co-Packaged Optics (CPO) の実現
この低電圧駆動の変調器は、Co-Packaged Optics (CPO) 実装において極めて有利です。
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CPOは、高性能なAIチップ(GPU/ASIC)のパッケージ内に光電融合デバイスを組み込む技術です。
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Driver-less変調器は、AIチップのロジック回路から出る低電圧信号をそのまま利用できるため、パッケージ内の設計が単純化され、高密度化と低発熱が実現しやすくなります。
3. 超高速なインターコネクト
単一波長で 212 Gb/s という高速伝送を達成することで、AIクラスター内のGPU間接続や、PFAM(Pooled/Flexible Access Memory)へのアクセスなど、データ集約型アプリケーションの超高速インターコネクトを実現します。
APNは、IOWN構想が目指す「高速・大容量、低遅延、超低消費電力」な次世代のデジタル社会を実現するための「神経網」の役割を果たします。(NTT・NTTイノベーティブデバイス・NXTEC・古河電工・新光電気)
この動画では、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)が従来の通信とどのように異なり、超低遅延や超大容量を実現するのかについて詳しく解説されています。
オールフォトニクスネットワーク(APN)とは? APNの概要をわかりやすくお伝えいたします。
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