300°Cという極限環境において、4H-SiC MOSFETの物理特性は常温時とは大きく異なります。設計や運用において最も重要な 「閾値電圧の低下」「移動度の変化」「リーク電流の増大」 の3点に焦点を当てて詳しく解説します。


1. 閾値電圧 (Vth) の低下とそのメカニズム

SiC MOSFETの閾値電圧は、温度の上昇とともにほぼ線形に低下します。300°Cでは、常温時に比べて 1V〜2V程度低下 するのが一般的です。

物理的メカニズム

  1. フェルミ準位の移動:

    温度が上がると、半導体内部のキャリアが熱励起され、フェルミ準位が禁制帯の中央(真性フェルミ準位)に近づきます。これにより、反転層を形成するために必要な表面ポテンシャルが小さくて済むようになり、結果として Vth が低下します。

  2. 界面準位(Interface Traps)の影響:

    SiC/SiO₂界面には多くのトラップが存在します。常温では電子がこれらのトラップに捕獲されて Vth を押し上げていますが、高温(300°C)になると熱エネルギーによって電子が放出されやすくなります。捕獲されていたマイナスの電荷が減ることで、ゲート電圧が低くてもチャネルが形成されやすくなります。

設計上の注意:

常温で Vth が低いデバイス(例:2V前後)を300°Cで使用すると、閾値が0V付近まで下がり、ノイズによる「誤点弧(セルフターンオン)」のリスクが非常に高まります。そのため、高温用デバイスはあえて常温での Vth を高めに設計することが一般的です。


2. キャリア移動度 (μ) の低下とオン抵抗の増大

300°Cでは、チャネル内を流れる電子の動きやすさ(移動度)が著しく低下します。

物理的メカニズム

  • 音響フォノン散乱(Phonon Scattering)の支配:

    高温下では結晶格子の振動(フォノン)が激しくなります。走行する電子がこの振動と衝突する頻度が増えるため、移動度が低下します。

  • オン抵抗 (Ron) への影響:

    移動度の低下は、デバイスのオン抵抗を増大させます。300°Cでは常温時の 2倍〜3倍以上のオン抵抗 になることがあり、これは発熱量の増加に直結します。


3. リーク電流の増大と絶縁膜の信頼性

Si(シリコン)であれば300°Cではリーク電流が激増してスイッチとして機能しませんが、SiCはワイドバンドギャップ特性により、この温度でも動作を維持できます。

  • ドレインリーク電流:

    300°Cでは真性キャリア濃度が増加するため、オフ状態での漏れ電流が増えます。しかし、SiCのバンドギャップは約 3.26 eV と広いため、300°Cでもシリコンの常温レベルかそれ以下のリーク電流に抑えることが可能です。

  • ゲート絶縁膜の経時絶縁破壊 (TDDB):

    300°Cという熱エネルギーに加えてゲート電界が加わると、酸化膜 ($SiO_2$) へのストレスが強まります。長期間の使用では、熱によるキャリア注入が加速され、絶縁膜の寿命が短くなる傾向にあります。


特性変化のまとめ表

特性項目 300°Cでの変化 主な物理的要因 システムへの影響
閾値電圧 (Vth) 大幅に低下 フェルミ準位移動・界面トラップ解放 誤点弧のリスク増、駆動マージンの減少
キャリア移動度 (μ) 低下 音響フォノン散乱の増大 オン抵抗増大による発熱増加
リーク電流 増大 真性キャリア濃度の増加 待機電力の増加(Siよりは圧倒的に低収)
破壊電圧 (BV) わずかに上昇 インパクトイオン化係数の低下 耐圧マージンの拡大(安全側の変化)

 

出典:Google Gemini

 

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