500㎸級の高電圧直流送電(HVDC)ケーブルは、長距離かつ大容量の電力輸送に適した、最高電圧クラスのケーブルです。主に、洋上風力発電など遠隔地で発電された電力を陸地へ送る場合や、地域間の連系線として使用されます。
⚡ 500㎸級HVDCケーブルの主な特徴
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最高電圧クラス: 現在開発・製造されているHVDCケーブルの中でも、最高水準の電圧(500kV)を持つもので、これにより大容量の電力を送ることが可能になります。
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低損失: 交流送電(AC)に比べ、送電中の電力損失が少なく、特に長距離の送電において効率が非常に優れています。
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長距離送電への適用: 電圧が高いため、送電距離が長くなっても電力損失の増加を抑えられ、大陸間や深海を越えるような非常に長い距離の送電プロジェクトに採用されます。
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海底ケーブルとしての利用: 潜水艦深度(例:水深1500m級)にも敷設可能な構造が開発されており、海底送電線として洋上風力発電からの送電や国家間連系に使用されます。
💡 開発と用途
日本国内では、カーボンニュートラル実現に向けた基幹インフラ構築の一環として、この500㎸級HVDCケーブルの生産体制強化が進められています。
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用途の例:
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洋上風力発電: 遠く離れた海域の洋上風力発電所から、発電された電力を効率的に陸上へ運ぶ。
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電力連系: 異なる電力エリア間や、国際間の電力系統を接続し、安定した電力供給に貢献する。
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大容量送電: 都市部など電力需要が大きい地域へ、効率よく大量の電力を送る。
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この種のケーブルは、2050年カーボンニュートラルの実現を支える重要な技術と位置づけられています。
500㎸級HVDCケーブルの構造は、交流(AC)ケーブルと同様に、電力を流す導体と、それを包む絶縁体、そして外部からの保護層が多層にわたって構成されています。特に直流の高電圧に耐えるため、絶縁層と電界を均一化する層が非常に重要になります。
一般的なHVDCケーブルの基本的な層構成は以下の通りです。
ケーブルの標準的な多層構造
ケーブルの中心から外側に向かって、主に以下の要素で構成されています。
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導体(Conductor)
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役割: 実際に電流を流す中心となる部分です。
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材質: 高純度の銅線またはアルミニウム線が使用されます。
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導体遮蔽層(Conductor Screen / 内部半導電層)
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役割: 導体の表面はわずかに凹凸があるため、そのまま絶縁体を接触させると電界が集中しやすくなります。この層は電界を均一化し、絶縁体の性能を最大限に引き出すために設けられます。
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絶縁体(Insulation)
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役割: 高電圧(500kV)の導体と外側の層を電気的に分離する、ケーブル構造で最も重要な層です。
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主な種類(500kV級):
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油浸紙絶縁(Mass Impregnated: MI): 特殊な油を含ませた紙を何層にも巻き付けたもの。実績が長く、長距離の直流海底ケーブルで多く使用されてきました。
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架橋ポリエチレン絶縁(Cross-linked Polyethylene: XLPE/CV): 固体絶縁体で、近年、高電圧DCケーブルの主流になりつつあります。
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絶縁体遮蔽層(Insulation Screen / 外部半導電層)
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役割: 絶縁体の外側の電界を均一化し、外側のシース層との間で安定した電界分布を形成します。
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シース/遮水層(Sheath)
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役割: ケーブルへの水の浸入を防ぐための金属製の層です。水は絶縁劣化の大きな原因となるため、密閉性を確保します。
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材質: 鉛、アルミニウムなどが使用されます。
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防食層(Outer Sheath)
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役割: シース層が腐食するのを防ぐため、ポリエチレンなどでシース全体を覆います。
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がい装(Armor/Armouring)
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役割: 特に海底ケーブルや地中ケーブルで、漁具や船舶の錨、掘削などによる外部からの物理的な力(引っ張り、衝撃など)からケーブルを保護する最も外側の層です。
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材質: 強度の高い鋼線などが使用されます。
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構造上のポイント
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単芯構造: HVDCケーブルは、通常、電力を送るための導体が1本のみの単芯構造です(往路と復路で2本のケーブルが対で使われます)。
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厚い絶縁体: 500kVという超高電圧に耐えるため、絶縁体層はACケーブルよりも厚く、高信頼性が求められます。
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海底ケーブルの補強: 検索結果にもあったように、海底に敷設される場合、水圧に耐え、敷設時や運用中に大きな張力に耐えられるよう、外径が大きく、強固ながい装が施されます。DC±500kVのOF海底ケーブルの例では、外径が190mm、重量が100kg/mに達する非常に重厚な構造になっています。
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