Cu-Cu(銅-銅)チップ・トゥ・ウェーハ(CtW)ハイブリッドボンディングは、次世代のヘテロジニアス・インテグレーションを実現する上で極めて重要な技術ですが、その超高精度と複雑なプロセスゆえに、以下のような克服すべき主要な課題があります。
1. プロセスと歩留まりに関する課題
🎯 極めて高い位置合わせ精度(アライメント)
Cu-Cuハイブリッドボンディングは、従来のマイクロバンプよりも遥かに微細な接続ピッチ(サブ$\mu\text{m}$級)で接合するため、ダイ(チップ)とウェーハの**位置合わせ(アライメント)**に極端な精度が要求されます。わずかなズレでも、チップ間の接続不良や電気的ショートを引き起こし、機能不良となります。
💧 表面の超平坦度と清浄度
接合の品質は、ダイとウェーハの表面の平坦度(コプラナリティ)と表面粗さに非常に敏感です。わずかな凹凸やパーティクル(微粒子)の残存でも、接合が不完全な箇所(ボイド)が生じ、接続抵抗の増大や信頼性の低下につながります。ボンディング前に、接合面を原子レベルで清浄化するプロセス(プラズマ活性化など)の安定化が求められます。
🌡️ 低温化と熱管理
ボンディングのプロセス温度が高すぎると、既に作製されているトランジスタや配線の特性が劣化する可能性があります。そのため、低温での高品質な接合技術が不可欠です。また、接合後のチップは3次元的に積層されるため、動作時の熱密度が集中しやすく、効率的な放熱(熱管理)技術が大きな課題となります。
🧪 プロセスの複雑さとスループット
CtW方式は、良品ダイを選別して一つずつウェーハに接合する「ピック・アンド・プレース」の要素を含むため、ウェーハ一括接合(W2W)に比べて生産性(スループット)が低いことが課題です。量産化のためには、ダイ一つあたりの接合時間を大幅に短縮する必要があります。
2. 欠陥管理とコストの課題
🔍 欠陥管理(KGD: Known Good Die)
CtW方式のメリットは「良品ダイ」だけを積層できることですが、極めて微細なハイブリッドボンディングに対応できるレベルで、積層する前のダイの**欠陥を完全に特定(KGD化)**することが難しくなっています。接合後に欠陥が見つかると、パッケージ全体が不良となるため、高精度な事前検査技術が不可欠です。
💰 製造コストの高騰
ハイブリッドボンディングは、従来のバンプ接合に比べて、特殊な装置(高精度アライメント装置、低温接合装置など)や、より高度な前処理プロセス(CMPによる平坦化、超清浄化など)が必要なため、初期の設備投資コストおよびプロセスコストが高くなる傾向があります。このコストを抑え、広い市場に適用することが今後の重要な課題です。


