ECoG(Electrocorticography:皮質脳波)の動作原理は、大脳皮質表面の電気的な活動を直接、高感度に計測することに基づいています。
基本的な原理は、頭皮上から計測する通常の脳波(EEG)と同じ**「電位差の記録」**ですが、電極が脳の活動源に極めて近いため、信号の質が格段に向上します。
🔬 ECoGの動作原理の詳細
1. 信号の発生源:同期したシナプス後電位
ECoGが捉える信号の主要な発生源は、大脳皮質の錐体細胞(Pyramidal Cells)の樹状突起で発生するシナプス後電位(Postsynaptic Potential: PSP)です。
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錐体細胞の役割: 大脳皮質の細胞の大部分を占める錐体細胞は、皮質表面に対して垂直に並んでいます。
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同期した活動: 数万から数百万の錐体細胞の活動が同期して興奮性シナプス後電位(EPSP)または抑制性シナプス後電位(IPSP)を発生させると、細胞外に電流源と電流シンク(電流の出入り口)が形成されます。
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電場形成: この電流の出入りにより、脳組織の細胞外に電場が形成されます。
2. 電極の配置と信号取得
ECoGでは、この電場を効率的に捉えるために、特殊な電極シートまたは電極グリッドを使用します。
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配置: 開頭手術により、電極アレイを大脳皮質の表面または硬膜の直下に直接配置します。
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記録: 電極は、この電場によって生じる電位変動をキャッチします。通常、基準電極(リファレンス電極)との間の電位差として信号を記録します。
3. EEGとの比較による利点
ECoGの信号品質が優れているのは、電極が脳の活動源に非常に近接しているためです。
| 特徴 | ECoG (半侵襲型) | EEG (非侵襲型) |
| 電極位置 | 脳表面(硬膜下または脳表) | 頭皮上 |
| 信号の減衰 | 最小限。頭蓋骨や髄膜による影響がない。 | 大きい。頭蓋骨、硬膜、頭皮などによる大幅な減衰と拡散。 |
| 信号強度 | 非常に高い(μVからmV)。 | 比較的低い(数十μV)。 |
| 空間解像度 | 高い。電極間隔を数mmにできるため、特定の皮質領域の活動を分離しやすい。 | 低い。 |
| 周波数帯域 | 広帯域(最大数百Hz)。高周波帯域(ガンマ波など)の活動も明瞭に捉えられる。 | 狭帯域。高周波成分は減衰し、ノイズに埋もれやすい。 |
特にECoGは、通常の脳波では捉えにくい高周波成分(高ガンマ帯域:70Hz以上)の活動を明確に記録できるため、運動制御や言語処理といった複雑な認知機能のデコーディング(解読)において高いパフォーマンスを発揮します。
ECoGの主な欠点は、開頭手術が必要となる侵襲性です。そのため、臨床では主にてんかんの外科的治療計画を目的として電極が留置された患者に対して、研究やBCI応用が行われています。
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