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GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)は、経済産業省(METI)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する、国内の生成AI開発力強化を目的とした国家プロジェクトです。

GENIACにおける基盤モデル開発の取り組みは、主に計算資源の提供支援を通じて、日本国内の企業や大学による競争力のある生成AI基盤モデルの開発を加速させることにあります。


 

1. GENIACプロジェクトの概要と目的

 

GENIACプロジェクトは、生成AIの鍵を握る基盤モデルの開発力が、日本のAIの利用可能性やイノベーションの幅を左右するという認識に基づいています。

項目 詳細
目的 日本国内の基盤モデル開発力を底上げし、国際競争力を強化する。
主な支援内容 高性能GPUなどの計算資源の提供支援、データホルダーとのマッチング支援、グローバル企業との連携支援、開発者コミュニティの形成。
開発対象モデル フルスクラッチ開発モデル、既存モデルへの事前追加学習モデル、既存モデルのファインチューニングモデルなど、開発内容を明確にした様々な基盤モデル。
採択スキーム 計算資源提供支援は、これまで第1期、第2期が実施され、第3期が進行中であり、多様な企業・大学が採択されています。

 

2. 基盤モデル開発の成果事例

 

GENIACプロジェクトでは、汎用的な大規模言語モデル(LLM)だけでなく、特定の産業領域に特化した専門モデルの開発も支援されており、具体的な成果が報告されています。

 

📄 汎用・マルチモーダルLLM

 

  • Preferred Networks(PFN)のPLaMo

    • GENIAC第1サイクルの成果として、大規模言語モデル「PLaMo-100B-Pretrained」が開発・公開されました。

    • その後も、高性能を維持しつつ計算資源と消費電力を大幅に削減する小型化LLMの開発が進められ、特定のベンチマークで世界最高水準の性能を達成しています。

  • Turing株式会社:

    • 日本語に最適化した**マルチモーダル視覚言語モデル(VLM)**の開発に成功。これは画像とテキストの両方を処理し、完全自動運転などの実現を目指しています。

  • 株式会社ABEJA:

    • LLMの社会実装の課題である「精度とコストのトレードオフ」を克服するため、世界最高水準の性能を備えた小型化日本語LLMを構築しました。

 

🧪 産業特化型基盤AIモデル

 

  • SyntheticGestalt株式会社の「SG4D10B」

    • 世界最大級の分子特化型基盤AIモデルとして開発されました。

    • 世界標準の創薬ベンチマークにおける毒性、透過性、安定性の3つの重要指標で世界1位の性能を達成し、創薬や新素材開発の効率化に貢献することが期待されています。

  • Zen Intelligence株式会社:

    • 建築現場の施工管理を自動化するAI基盤モデルの開発を推進しています。

  • 楽天グループ株式会社:

    • 長期記憶メカニズムと対話型学習を融合した日本語LLMの研究開発に新規参画し、AIエージェント構想を加速させています。


 

3. 今後の展望

 

GENIACは、採択事業者による開発成果の社会実装を見据え、引き続きGPUなどの計算資源提供や、データ活用に向けたマッチングを強化しています。開発されたモデルは順次公開またはサービス提供され、日本の産業競争力向上と、社会課題の解決への貢献が期待されています。

 

下記資料では「GENIAC」について詳しく解説されています。

 

【解説】東大・松尾教授が語る、国産LLM「GENIAC」の現在地と日本のAI戦略【切り抜き】(G1ベンチャー2025 1部全体会より)