インフィニオンの CoolMOS™ とロームの PrestoMOS™ は、どちらもスーパージャンクション(SJ)構造を採用したパワーMOSFETですが、設計思想や得意とするアプリケーションに明確な違いがあります。

技術的な観点から、両者の特徴と最新(2026年時点)の動向を比較します。


1. Infineon: CoolMOS™(業界のデファクトスタンダード)

インフィニオンはSJ構造のパイオニアであり、CoolMOSは市場で最も広く使われているブランドです。

  • 広範なラインナップ: 汎用から超高性能まで、用途に合わせて細かくシリーズが分かれています(例:P7、C7、CFD7など)。

  • 最新世代「CoolMOS 8」: 2024年〜2025年にかけて本格展開された最新シリーズです。

    • 統合ファストボディダイオード: 従来は「FD」と付くモデルのみでしたが、CoolMOS 8では全モデルに高速なボディダイオードが標準搭載され、設計が簡略化されました。

    • 低損失: 従来(CoolMOS 7)比で、出力容量 Coss を約50%削減、スイッチング損失 Eoss を約10%削減しています。

    • ターゲット: サーバー、データセンターの電源、太陽光発電インバータ、EV充電器など、最高レベルの効率が求められる分野。

2. ROHM: PrestoMOS™(高速リカバリに特化)

ロームのPrestoMOSは、イタリア語で「極めて速く」を意味する名の通り、**「内蔵ダイオードの逆回復時間 (trr) の速さ」**を最大の武器にしています。

  • 業界最速クラスの trr: 独自のライフタイム制御技術により、寄生ダイオードがオフになる際の無駄な電流(逆回復電流)を極限まで抑えています。

  • 最新シリーズ「R60xxRNx」:

    • 低ノイズ特性: 高速スイッチングに伴う放射ノイズを抑える設計がなされており、ノイズ対策がシビアな家電製品に適しています。

    • セルフターンオン防止: ゲート閾値電圧を高めに設定することで、誤作動による短絡故障を防ぐ工夫が施されています。

  • ターゲット: 冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの「モーター駆動(インバータ)」回路。特に、SiC(シリコンカーバイド)を使うほどではないが、従来のシリコンでは損失が気になる中小型モーター用途に強みがあります。


技術比較まとめ

比較項目 CoolMOS™ (Infineon) PrestoMOS™ (ROHM)
強み 総合力・圧倒的なシェア。Ron ・ A (単位面積あたりのオン抵抗) が極めて低い。 内蔵ダイオードの高速性。 回路の小型化・低ノイズ化に特化。
主な用途 サーバー、通信基地局、ハイエンド電源、EV 白物家電、小型モーター、空調、一般産業機器
最新の進化 CoolMOS 8による Coss の劇的な低減とダイオードの標準高速化。 ノイズ抑制と高速性を両立したRNシリーズの拡充。
設計のしやすさ 非常に多い選択肢から最適解を選べるが、選定に知識が必要。 モーター回路に特化した特性で、回路設計の簡略化に貢献。

使い分けのヒント

  • 「とにかく電源の変換効率を極限まで上げたい」、あるいは**「非常に高い電力を扱う」**場合は、CoolMOS(特に最新のCoolMOS 8やCFD7シリーズ)が第一候補になります。

  • 「インバータ回路でダイオードの損失を抑えたい」「ノイズ対策のフィルターを小型化したい」、あるいは**「信頼性の高い国産メーカーが良い」**という場合は、PrestoMOS が非常に強力な選択肢となります。

2026年現在の市場では、これらSJ-MOSFETに加え、より高価で高性能なSiC MOSFETとの棲み分けも進んでいますが、コストパフォーマンスの面でこの2ブランドは依然としてパワー設計の主役です。

特定の回路トポロジ(LLC共振、トーテムポールPFCなど)における損失シミュレーションや、具体的な型番の比較についてお手伝いしましょうか?

 

 

出典:Google Gemini

 

 

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