SATCOM(サットコム)リンクとは、**衛星通信(Satellite Communications)**システムにおける、地上局と人工衛星の間、または衛星同士の間で信号をやり取りするための通信経路全体を指します。このリンクは、地球上の非常に広範囲にわたる通信を可能にするために、衛星を中継器として利用します。
🛰️ SATCOM リンクの主要な構成
SATCOMリンクは、主に二つの独立した通信経路で構成されます。
1. アップリンク(Uplink)
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定義: **地上局(送信側)から人工衛星(受信側)**へ信号を送信する経路。
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役割: 地上からの情報を衛星に中継させるために送ります。
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周波数: ダウンリンクでの干渉を避けるため、通常はダウンリンクよりも高い周波数帯(例:Cバンド、Kuバンド、Kaバンドなど)が使用されます。
2. ダウンリンク(Downlink)
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定義: **人工衛星(送信側)から地上局(受信側)**へ信号を再送信する経路。
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役割: 衛星が受信した信号を増幅・周波数変換して、地球上の別の受信局へ送り返します。
📊 リンクバジェット解析の重要性
SATCOMリンクの信頼性と効率を設計・評価する上で、**リンクバジェット解析(Link Budget Analysis)**が極めて重要になります。
| 評価項目 | 説明 |
| 目的 | 信号が送信機から受信機に伝送される際の、**信号の利得(Gain)と損失(Loss)**を詳細に分析し、**C/N比(搬送波対雑音電力比)**などの性能指標を算出します。 |
| 主要な要因 | * 送信電力 (Transmit Power): 地上局および衛星の送信電力。* アンテナ利得 (Antenna Gain): 送信アンテナと受信アンテナの性能。* パス損失 (Path Loss): 衛星までの距離による信号の減衰(自由空間伝搬損失:FSPLが支配的)。* 大気吸収・降雨減衰: 大気や降雨による信号の損失。* 受信機感度: 信号を正確に復調するために必要な最小受信電力。 |
| 最終目標 | 必要な通信品質(例:特定のEb/N0またはC/N比)を確保するためのリンクマージン(Link Margin)**を決定します。 |
📡 衛星側の主要コンポーネント
信号の中継機能は、衛星に搭載された**トランスポンダ(Transponder)**によって実行されます。
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アップリンク受信機: 地上局からの信号を受信します。
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ダウンコンバータ: 受信したアップリンク周波数をダウンリンク周波数に変換します。
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増幅器: 信号を増幅し、地上に到達できる十分な強度(等価等方放射電力:EIRP)を持たせます。
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ダウンリンク送信アンテナ: 変換・増幅された信号を地上へ送り返します。
衛星通信リンクの設計は、利用周波数帯の選択、伝搬特性の考慮、ノイズ対策、干渉問題の解決といった要素を数学的に最適化する作業となります。
Satellite Communications Link Analysis and Visualizationでは、マルチホップリンクのモデル化と、通信が成立する時間(リンククロージャ)の計算が解説されており、SATCOMリンク解析の具体的な内容を理解するのに役立ちます。
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