TECHMIZE社 インピーダンス・アナライザ  TH2851シリーズ

この技術は、2.5次元 (2.5D) インテグレーションと呼ばれる、高性能半導体の集積技術の中核をなすものです。この技術は、CPU/GPUなどのロジックチップと、広帯域・高容量メモリであるHBM (High Bandwidth Memory) を単一のパッケージ上に統合し、データ処理能力を飛躍的に向上させます。

ロジックとHBMを統合する際の「接続媒体」として、SiインターポーザーRDLインターポーザーが主に利用されます。


 

1. 2.5Dインテグレーションの概要

 

2.5Dインテグレーションでは、複数のチップレット(機能ごとに分割された小さな半導体ダイ)を、配線層を持つ**インターポーザー(中継基板)**の上に並べ、マイクロバンプで接続します。インターポーザー自体は、外部の基板(PCB)に接続されます。

この技術の最大の利点は、ロジックチップとHBM間の配線距離を極めて短くできるため、超高速なデータ通信低消費電力化を両立できる点です。


 

2. Siインターポーザー vs. RDLインターポーザー

 

ロジックチップとHBMを接続するインターポーザーには、主にシリコン(Si)製と再配線層(RDL)製があり、それぞれ特徴と用途が異なります。

 

a. Siインターポーザー(シリコンインターポーザー)

 

従来の高性能2.5Dパッケージで主流の技術です。

特徴 詳細
材料 シリコンウェーハ
配線密度 極めて高い。半導体プロセス技術を利用するため、配線幅が数マイクロメートル( μm) と非常に微細です。
接続技術 TSV (Through-Silicon Via) と呼ばれる貫通電極によって、インターポーザーの裏表を接続します。
利点 最高の配線密度と性能を実現でき、HBMなどの高密度な接続を要するチップレット統合に最適です。
課題 コストが高い。ウェーハサイズが限られるため、インターポーザーの大型化に限界があります。

 

b. RDLインターポーザー(再配線層インターポーザー)

 

主にファンアウト型パッケージ技術を応用した、比較的新しい技術です。

特徴 詳細
材料 樹脂基板(オーガニック基板)
配線密度 Siインターポーザーよりは低いが、従来の基板より高い(配線幅が数 μm ~十数 μm)。
接続技術

基板上に形成されたRDL (Redistribution Layer) と呼ばれる銅(Cu)と絶縁層の多層構造で配線します。

利点 Siインターポーザーよりも製造コストが低い。より大きなサイズのインターポーザー(大型化)に対応できるため、多くのチップレット統合に適しています。
課題 配線密度がSiに劣るため、HBMのような超高密度接続が必要な場合は、シリコンブリッジなどの補助技術を併用する必要があります。

 

3. ロジックチップとHBMのインテグレーション

 

高性能なAIアクセラレータやデータセンター向けCPU/GPUでは、この2.5D技術が標準となっています。

  1. HBMスタック: 複数のDRAMチップをTSVで垂直に積み重ねて(3Dスタッキング)、単一のHBMスタックを形成します。

  2. ロジックチップ: 高度な演算を行うCPU、GPU、またはSoC(System-on-Chip)です。

  3. インターポーザー上への搭載:

    • HBMスタックとロジックチップの両方を、インターポーザーの上にマイクロバンプを介して高密度で並べて接続します。

    • これにより、チップ間の配線長が短縮され、テラバイト/秒 (TB/s) クラスの広帯域なデータ転送が可能になります。

先進的な企業は、コストと性能のバランスを取りながら、高性能・高集積な製品にはSiインターポーザーを、大型化やコスト効率が求められる製品にはRDLインターポーザーを、それぞれ使い分ける戦略を進めています。