
SiCパワー半導体は、Si(シリコン)とC(炭素)の化合物である炭化ケイ素(SiC)を主材料とする半導体です。従来のシリコン(Si)製パワー半導体に比べて、より高い電圧・大電流に耐え、電力の変換効率が高いという特長があります。このため、EV(電気自動車)や再生可能エネルギー関連機器など、高効率が求められる分野で急速に普及が進んでいる次世代パワー半導体です。
SiCパワー半導体の特徴とメリット
SiCパワー半導体は、従来のSiパワー半導体と比較して、主に以下の優れた特性を持っています。
1. 高耐圧・低損失
SiCは、Siよりも約10倍の絶縁破壊電界強度を持っています。これにより、高い電圧に耐えられ、同時に電力変換時のエネルギー損失(スイッチング損失)を大幅に低減できます。電力損失が少ないため、機器の発熱も抑えられます。
2. 高速スイッチング
SiCはSiよりもバンドギャップが広く、電子が高速で移動できます。これにより、より高速なスイッチング動作が可能となり、電力変換効率が向上します。
3. 小型・軽量化
電力損失が少なく発熱が抑えられるため、大掛かりな冷却システムが不要になり、機器全体の小型・軽量化が実現できます。これは特にEVにおいて、航続距離の向上や車両の軽量化に大きく貢献します。
主な用途
SiCパワー半導体は、その優れた特性から、以下のような分野で利用が拡大しています。
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電気自動車(EV) 🚗
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モーターを動かすためのインバータや、充電器に搭載され、電費の向上や充電時間の短縮に貢献します。
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鉄道 🚄
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車両のインバータに採用され、省エネ化や軽量化に役立っています。
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再生可能エネルギー ☀️
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太陽光発電のパワーコンディショナなどに使用され、発電した電力を効率よく変換します。
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産業機器 🏭
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工場設備やデータセンターの電源装置などに使われ、省エネルギー化に貢献します。
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