SSCB (Solid State Circuit Breaker: 半導体遮断器)は、従来の機械式サーキットブレーカー(遮断器)の可動接点や可動部品を、パワー半導体デバイスで置き換えた次世代の電流遮断技術です。
従来のブレーカーが電流を遮断するのに数ミリ秒かかるのに対し、SSCBはマイクロ秒(μs)単位という超高速で回路を遮断できるため、電力システムの保護と制御に革命をもたらす技術として注目されています。
SSCBの仕組みと構成
SSCBは、主に以下のコンポーネントで構成されます。
-
パワー半導体スイッチ:
-
メインのスイッチング素子であり、通常、ワイドバンドギャップ(WBG)半導体であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)デバイスが用いられます。これらのデバイスは、高電圧、大電流、高速スイッチング、低損失というSSCBに必要な特性を提供します。
-
-
電流検出・制御回路:
-
回路の電流を常時監視し、過電流や短絡などの異常を極めて高速に検出するセンサーと、半導体スイッチをオン/オフさせる高度な制御アルゴリズムを搭載したマイコン(マイクロコントローラ)で構成されます。
-
⚡️ 遮断動作の比較
| 項目 | SSCB(半導体遮断器) | 従来の機械式ブレーカー |
| 遮断速度 | マイクロ秒 (μs) 単位 | ミリ秒 (ms) 単位 |
| 遮断原理 | 半導体スイッチの電気的なオフ制御 | 可動接点の物理的な開放 |
| アーク(火花) | 発生しない(アークレス遮断) | 遮断時に必ず発生する |
| 寿命・メンテナンス | 可動部がないため、長寿命かつ低メンテナンス | 可動部の摩耗、アークによる接点の劣化がある |
SSCBの主要なメリット
1. 超高速遮断とシステム保護の強化
-
従来のブレーカーよりも100倍以上高速に異常を検出・遮断できるため、短絡などの事故発生時のエネルギー放出を最小限に抑えられます。これにより、接続機器への損傷を防ぎ、火災リスクを低減できます。
2. 信頼性・安全性・長寿命
-
アークフリー(無アーク)遮断: 可動接点がないため、電流遮断時に危険なアーク放電(火花)が一切発生しません。これにより、爆発や火災のリスクがほぼゼロになります。
-
高信頼性: 可動部品がないため、摩耗や経年劣化が少なく、長寿命で信頼性が高いです。
3. 高度な電力制御機能
-
プログラマブルな保護: 従来のブレーカーでは難しかった、きめ細かくカスタマイズ可能な保護設定や、電流・電圧の制御、システム診断機能などをソフトウェアで実現できます。
-
双方向制御: 再生可能エネルギーや蓄電池など、電力の流れが頻繁に変わるシステムにおいて、潮流の方向に応じて遮断・制御を柔軟に行えます。
SSCBが特に重要な応用分野
SSCBは、超高速保護が求められる次世代の電力システムで不可欠な技術です。
-
HVDC (高電圧直流) システム: DC 送電ではACのような自然な電流のゼロ点がないため、**高速な電流遮断が極めて難しい**という課題があります。SSCBは、DC系統を高速かつ確実に保護するための鍵となる技術です。
-
データセンター(HVDC 給電): 1 MW 級の高密度ラックにおける過電流を瞬時に遮断し、高価なAI$サーバーを保護する上で不可欠です。
-
スマートグリッド・再生可能エネルギー: 系統の複雑化や不安定化に対応するため、故障箇所を瞬時に隔離し、系統全体の安定性を保つ役割を担います。
この動画は、通常のパッシブプローブと光アイソレーション差動プローブの違いを比較し、正確に観測するために光アイソレーション差動プローブが必要であることを示しています。
|
MICSIG 光アイソレーション差動プローブ MOIPシリーズ https://tm-co.co.jp/products/micsig-moip/ ・ 帯域幅: DC~100MHz/・・・/1GHz(6モデル) ・ 差動電圧: ~6250V ・ 同相電圧: 85kVpk |
|
※MOIPプローブはBNCコネクタ接続により、お持ちのオシロスコープで使用可能です。







