ワイドバンドギャップ(WBG)半導体であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)は、従来のシリコン(Si)デバイスと比較して、使用される受動部品、特にコンデンサに対して非常に厳しい要求を課します。
この要求は、主にWBGデバイスの高速スイッチング特性に起因しており、コンデンサに求められる性能は以下の3つの側面で顕著になります。
⚡ 1. より高いリップル電流耐性
WBGデバイスは極めて高速にオン/オフするため、スイッチング時の電流の変化率(di/dt)が非常に大きくなります。
-
影響: この大きなdi/dtは、入力側やDCリンクコンデンサに高周波かつ大振幅のリップル電流(Iripple)を発生させます。
-
コンデンサへの要求: コンデンサは、この高周波リップル電流によって生じる内部損失(ESR:等価直列抵抗による発熱)に耐え、熱破壊や容量劣化を防ぐ必要があります。特に、高周波域でのESRが低いことが重要です。
📈 2. より厳しい電圧ストレス
WBGデバイスの高速スイッチングは、回路の寄生インダクタンスとの相互作用により、コンデンサ端子間に過渡的な高電圧スパイク(オーバーシュート)を発生させます。
-
影響: この電圧スパイクは、コンデンサの定格電圧を超える瞬間的なストレスとなり、絶縁破壊や寿命低下のリスクを高めます。
-
コンデンサへの要求: 定格電圧に対する十分なマージンを持つことはもちろん、コンデンサのインダクタンス(ESL)を最小限に抑えることが必須です。ESLが小さいほど、(V=L・di/dt)による電圧スパイクを低減できます。
🔥 3. より急激な温度変化への耐性(熱サイクル)
WBGデバイスは高効率ですが、電力密度が非常に高く、急激な負荷変動に伴い発熱と冷却が繰り返されます。
-
影響: 内部の高速スイッチングと外部の環境変化により、コンデンサは激しい温度変化や熱サイクルにさらされます。
-
コンデンサへの要求:
-
高耐熱性: WBG回路は高温環境で動作しやすいため、高い動作温度に耐える必要があります。
-
熱サイクル耐性: 熱膨張・収縮による内部の接続部(リード線、電極接合部など)の機械的ストレスに耐え、長期的な信頼性を維持する必要があります。
-
🔋 対応するコンデンサの選択
これらの厳しい要求に対応するため、WBG半導体とともに使用される主要なコンデンサは以下の通りです。
-
フィルムコンデンサ(DCリンク用):
-
低ESR/ESLに優れ、高周波リップル電流耐性が高いため、DCリンク用途で電解コンデンサから置き換えが進んでいます。特にポリプロピレン(PP)フィルムが一般的です。
-
-
セラミックコンデンサ(デカップリング用):
-
極めて低いESR/ESLと高い自己共振周波数を持ち、スイッチングノイズのバイパスやデカップリングに最適です。
-
-
高性能電解コンデンサ:
-
大容量が必要な場合、低ESRと高リプル電流耐性を強化した特殊な電解コンデンサ(長寿命品など)が選ばれます。
-
![]() |
SSG6M80Aシリーズ ・Coming soon
|
![]() |
![]() |
![]() |
SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Coming soon
|
![]() |
SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features
|
![]() |
SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 ・Coming soon |










