インピーダンス・アナライザ  TECHMIZE 型式:TH2851-130【10Hz-130MHz】

XコンデンサとYコンデンサは、EMC(電磁両立性)対策において、電源ラインのノイズフィルタリングに不可欠な部品です。それぞれの特徴と役割、EMC対策における考え方を以下にまとめます。

 

Xコンデンサ(ライン間コンデンサ)

 

  • 役割: 主にディファレンシャルモードノイズを除去します。

  • 動作原理: 電源ライン(L-N間)に接続され、ノイズ成分をショートさせ、平滑化する役割を担います。

  • 特徴:

    • 大きな静電容量を持つことが可能です。

    • 故障した場合、短絡(ショート)モードになるように設計されています。これにより、ヒューズを溶断させ、火災や感電のリスクを防ぎます。

    • 電源を切った後も電荷が残るため、感電防止のためにブリーダ抵抗(放電抵抗)を並列に接続する必要があります。

    • 感電防止の安全基準(IEC60384-14など)に準拠したものが使用されます。

 

Yコンデンサ(ライン-GND間コンデンサ)

 

  • 役割: 主にコモンモードノイズを除去します。

  • 動作原理: 電源ライン(L-GND間、N-GND間)に接続され、電源ラインに乗ったノイズをグラウンドにバイパスさせます。

  • 特徴:

    • 静電容量は小さく設定されます。これは、漏洩電流(コンデンサを介してグラウンドに流れる電流)を抑えるためです。漏洩電流が大きいと、感電や漏電遮断器の誤動作の原因となります。

    • 故障した場合、開放(オープン)モードになるように設計されています。これにより、漏洩電流の増加を防ぎます。

    • Xコンデンサと同様に、安全規格に準拠したものが使用されます。

 

EMC対策の考え方

 

EMC対策は、XコンデンサとYコンデンサの単独使用だけでなく、他の部品と組み合わせることでより効果が高まります。

  • フィルタリング:

    • XコンデンサとYコンデンサは、コモンモードチョークコイルと組み合わせてLCフィルタを構成することで、広範囲の周波数ノイズに対応できます。

    • 一般的に、コモンモードチョークコイルは低い周波数帯のノイズ、Yコンデンサは高い周波数帯のノイズに効果があります。

  • 配置と配線:

    • コンデンサは、ノイズ源の近くに配置することが重要です。

    • グランド(GND)の強化も不可欠です。GNDビアやGNDガードを適切に配置することで、ノイズの伝播を抑えられます。

    • 配線は短く、太くすることでインピーダンスを低減し、ノイズの放射を抑えます。

  • シールディング(シールド):

    • 筐体やケーブルにシールドを施し、ノイズの外部への放射や外部からのノイズの侵入を防ぎます。

    • シールドは、グラウンドに適切に接続する必要があります。

EMC対策は、シールド、グラウンディング、フィルタリング、配線、配置など、複数の手法を組み合わせて総合的に行うことが重要です。

 

参考動画:エンジャー / Engeer チャンネル

【ノイズ対策】知らないとヤバい!XコンデンサとYコンデンサ #90