ZVSは、電子回路、特にパワーエレクトロニクスの分野で用いられる略語で、Zero Voltage Switching(ゼロ電圧スイッチング) を意味します。
これは、スイッチング素子(MOSFETやIGBTなど)がターンオン(導通)またはターンオフ(遮断)する際に、その素子の端子間電圧がほぼゼロの瞬間にスイッチング動作を行うソフトスイッチング技術の一つです。
💡 ZVSの目的と効果
高周波で動作する電力変換回路(コンバータ、インバータなど)において、スイッチング損失を大幅に低減し、効率を向上させるために採用されます。
1. スイッチング損失の低減
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ハードスイッチングの問題: 従来の方式(ハードスイッチング)では、スイッチングの瞬間に、素子に高い電圧と大きな電流が同時にかかります。この電圧と電流の積によって生じる電力がスイッチング損失となり、熱となって放出されます。高周波数化するほど、この損失が増大し、効率が低下します。
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ZVSの解決策: スイッチをターンオンする際、あらかじめ共振回路などを用いてスイッチの端子間電圧 Vds をゼロにしておきます。これにより、ターンオン時の電圧と電流の重なりがなくなり、ターンオン損失がゼロ、または非常に小さくなります。
2. 寄生容量の影響の抑制
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Coss のエネルギー回生: MOSFETなどのスイッチング素子には、ドレイン-ソース間に寄生容量 Coss が存在します。ハードスイッチングでは、この Coss の充放電に伴うエネルギーが損失となります。
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ZVSによる活用: ZVS技術では、共振回路を利用して、スイッチがターンオフした後に Coss に蓄えられたエネルギーを電源側や負荷側へ回生し、次のスイッチングに利用します。これにより、損失を低減するだけでなく、ノイズの発生も抑制できます。
3. 高周波化への貢献
損失が低減されるため、スイッチング周波数を高くすることが可能になります。周波数が高くなると、トランスやインダクタ、コンデンサといった受動部品を小型化できるため、電力変換器全体の小型・軽量化が実現します。
🛠 ZVSを実現する主な回路トポロジーの例
ZVSを実現するためには、共振素子(インダクタンスとキャパシタンス) を用いた専用の回路構成が必要です。
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LLC共振コンバータ
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アクティブクランプコンバータ (フォワード、フライバックなど)
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フルブリッジ・フェーズシフトコンバータ
ZVSと対になるソフトスイッチング技術として、スイッチング時の電流をゼロにするZCS (Zero Current Switching) があります。高効率な電力変換器の設計では、負荷やトポロジーに応じてこれらを使い分けたり、組み合わせたりします。
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