研究の背景
光は情報を運ぶ媒体として広く活用されてきました。中でも、光電検出器は光電効果を利用して光信号を電気信号に変換する装置であり、高速応答・高感度といった特長を持っています。この技術は、光の強度・波長・周波数などの測定・解析に不可欠な存在です。
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光電検出器はその動作原理と構造から、フォトダイオードやPIN型フォトダイオードなどに分類されます。今回は、その中核であるPN接合の接合容量について焦点を当てます。
測定対象:PN接合容量
PN接合の最大の特徴は「一方向導電性」にあります。
順方向電圧が一定値に達すると導通します。
逆方向電圧が範囲内であれば微小な逆方向飽和電流のみが流れます。
一定の逆方向電圧を超えると**ブレークダウン(破壊)**が発生します。
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PN接合部では、外部電圧によって電荷が蓄積されます。この効果が**接合容量(Cj)**であり、次の2つの容量から構成されます:
拡散容量(Cd)
ポテンシャルバリア容量(Cb)
式で表すと:Cj = Cb + Cd
この接合容量には「直流を遮断し、交流を通す」という特性があります。周波数が低ければ容量の影響は無視できますが、光電チップなど高周波環境では容量が大きいと双方向に電流が流れる=誤動作の原因となります。したがって、PN接合容量は小さいほど望ましいのです。
測定要件
光電分野では、多数の光検出器・レーザー発光素子に対して、1pF前後のPN接合容量を測定する必要があります。
測定の課題
容量測定といえばインピーダンスアナライザー/LCRメーターが一般的ですが、以下のような難点が存在します:
容量値が非常に小さい
– チップで約1pF、デバイスで約10pF。一般的なLCRメーターでは分解能が足りず測定が困難です。
測定周波数が高い
– 多くは1MHz~2MHzの範囲。高周波対応が必要です。
高バイアスが必要
– バイアス電圧として10V〜30V、場合によっては40Vの印加が求められます。
チップ構造により接続が困難
– パッドが片面にある場合はプローブ2本で測定できますが、別面にある場合は治具設計や接続・校正に高い技術が必要です。
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解決策:TH2838シリーズ
TH2838シリーズは、自動バランスブリッジ方式を採用した次世代型インピーダンス測定器です。
基本精度:0.05%
測定速度:最速5.6ms
周波数範囲:20Hz〜2MHz
インピーダンス測定範囲:最大1GΩ
これにより、低損失なコンデンサや高Q値のインダクタの高精度な測定が可能であり、小容量・高周波・高バイアス対応のPN接合容量測定に最適なソリューションです。
おわりに
技術が日進月歩で進化する中、光電検出器技術も通信・医療・環境保護・製薬など、さまざまな分野で活躍の場を広げています。今後もその中心的役割を担い、さらに多くの可能性を切り拓いていくことでしょう。