次世代のパッケージ基板として注目されている**「ガラスコア基板(Glass Core Substrate)」**においても、味の素ビルドアップフィルム(ABF)は引き続き不可欠な役割を担っています。
従来の樹脂コア(有機基板)からガラスコアに変わっても、ABFの「配線層を形成する絶縁材」としての地位は揺るぎませんが、その役割はより高度なものに進化しています。
1. ガラスコア基板の構造とABFの位置付け
ガラスコア基板は、中心部の芯材(コア)を樹脂から「ガラス板」に置き換えたものです。ABFは、その**ガラスコアの両面に多層配線を積み上げるための「絶縁層」**として使用されます。
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コア層: ガラス(極めて平坦で硬い)
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ビルドアップ層: ABF(ここに微細な銅配線を作る)
2. ガラスコア基板におけるABFの具体的な役割
① ガラスと銅配線の「仲介役」
ガラスは非常に滑らかで化学的に安定しているため、直接「銅」を強固に密着させることが困難です。まずガラスコアの上にABFをラミネートすることで、ABFが「接着層」および「配線形成の土台」となり、その上に微細な配線(RDL)を構築することが可能になります。
② 微細ビア(穴)の形成
チップレット間を繋ぐためには、層間を結ぶ無数の小さな穴(ビア)が必要です。ガラス自体に穴を開けるのは大変ですが、ABF層であればレーザーで数ミクロン単位の微細な穴を高速かつ精密に開けることができます。
③ 応力の緩衝材(クッション)
ガラスは硬くて脆い材料です。一方、その上に載るシリコンチップや、下にあるマザーボードは熱膨張率が異なります。ABFが適度な弾性を持つことで、熱変化によるストレスを吸収し、基板全体の割れや配線の断線を防ぐ「クッション」のような役割を果たします。
3. なぜガラスコアになっても「ABF」なのか?
Intelなどがガラスコアへの移行を急いでいる最大の理由は、**「樹脂コアの限界(反りと平坦性)」**です。しかし、配線層(ビルドアップ層)については、すでにABFを用いた製造エコシステムが完璧に完成しています。
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既存設備の流用: ガラスコアに変更しても、外側の配線層を作る工程(露光、エッチング、メッキ)は、従来のABFを用いた設備をそのまま流用できるメリットがあります。
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熱膨張率(CTE)の調整: 味の素は、ガラスの熱膨張率(約3-9 ppm/℃)に近い、極めて低熱膨張な新型ABFを開発しています。これにより、ガラスコアとABF層が一体となって、巨大なチップレットパッケージでも「全く反らない基板」を実現できます。
4. 将来の展望:ABFの進化
ガラスコア基板の導入により、基板全体の厚みを薄くしつつ、配線密度をさらに高めることが可能になります。これに合わせて、ABFも以下のように進化しています。
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更なる薄膜化: 1層あたりの厚みをさらに薄くし、信号伝達距離を短縮。
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光配線の導入: 将来的には、ABF層の中に「光導波路」を形成し、チップ間を光で通信する技術も研究されています。
まとめ
ガラスコア基板におけるABFは、「ガラスの持つ圧倒的な平坦性と剛性」を活かしつつ、その上に「超微細な電気回路」を構築するための、最も信頼性の高いキャンバスとしての役割を担っています。
出典:Google Gemini
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