TECHMIZE 社 高精度ソース・メジャー・ユニット 型式:TH199X

ロジックチップにおける3次元構造がもたらす利点は、主に微細化の限界突破システム全体の高性能化・高効率化の2点に集約されます。これは、トランジスタレベルの3次元構造(GAAFET、CFETなど)と、チップレベルの3次元積層(3D IC)の両方で効果を発揮します。

 

1. トランジスタレベルでの利点(チャネルの立体化)

 

FinFET、ナノシートFET(GAAFET)、CFETなどのトランジスタにおける3次元構造化は、主に微細化の限界を克服し、トランジスタの基本性能を向上させます。

構造 主な利点
全周ゲート ナノシートFET (GAAFET) ゲートがチャネルを四方から完全に囲むため、リーク電流を極限まで抑制し、オン/オフの切り替えをシャープにします(静電制御の向上)。
チャネル積層 CFET (Complementary FET) NMOSとPMOSを垂直に積層することで、CMOS回路に必要な横方向の占有面積を約半分に縮小し、集積度を劇的に向上させます。
実効チャネル幅の増加 FinFET、ナノシートFET 設置面積(フットプリント)を大きくすることなく、チャネルを立体的にすることで実効的な駆動電流(オン電流)を増やし、動作速度を向上させます。

 

2. チップレベルでの利点(チップの垂直積層 - 3D IC)

 

異なる機能を持つ複数のチップ(ロジック、メモリなど)を垂直に積み重ねて接続する3次元積層技術(3D IC)は、システムレベルでの利点をもたらします。

 

✅ 性能の大幅な向上(高速化・低遅延)

 

  • 配線長の短縮: 従来の2次元平面配置では、チップ間の通信は長い配線(I/O)を経由していました。3D積層では、TSV (Through Silicon Via: シリコン貫通ビア) という垂直な配線により、通信距離が劇的に短縮されます。

  • データ転送の高速化: 配線長が短くなることで、信号遅延が減り、超高速なデータ転送が可能になります。

 

✅ 電力効率の改善(低消費電力化)

 

  • 消費電力の削減: 配線長が短くなると、信号を伝送するために必要な電力が減ります。これにより、システム全体の消費電力を大幅に抑えることができます。

  • 低ノイズ化: 配線が短くなることで、ノイズの発生を抑え、信号品質が向上します。

 

✅ 高集積化と小型化

 

  • フットプリントの削減: 複数のチップを縦に重ねるため、横方向の占有面積(フットプリント)を減らし、パッケージの小型化・高密度化を実現できます。

  • 異種統合の容易化: 異なるプロセスで製造された機能(ロジック、高性能メモリ、RF、センサーなど)を、最適な状態で個別に製造し、後から統合することが容易になります(ヘテロジニアスインテグレーション)。