100 Gbaud VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:垂直共振器面発光レーザー)とは、データ通信において1秒間に1000億回の信号変調(シンボルレート)が可能な超高速のVCSELを指します。
これは、次世代の超大容量データセンターや高性能コンピューティング(HPC)における短距離光接続を実現するための極めて重要な技術目標です。
1. 100 Gbaud VCSELの意義
従来のデータセンターでは、一般的に25 Gbaudや50 GbaudのVCSELが利用されてきました。
100 GBASE-SR4などの100 Gbps光モジュールは、通常、4チャネル 25 Gbps(約25 Gbaud)で合計100 Gbpsを実現しています。
400 Gbpsモジュールは、8チャネル 50 Gbps(約25 GbaudのPAM-4変調)などで実現されます。
しかし、データトラフィックの爆発的な増加に伴い、より少ないチャネル数で高速化できる高シンボルレート(Baud rate)の技術が求められています。
100 Gbaud VCSELが実現すれば、1チャネルで100 GbaudのNRZ変調(2値変調)や、さらに高度なPAM-4変調(4値変調)を用いることで200 Gbpsの伝送が可能になり、光モジュールの小型化、低消費電力化、低コスト化に大きく貢献します。
2. 実現に向けた課題と技術
VCSELは元々、水平共振器型レーザー(端面発光型:EEL)に比べて変調速度に限界がありました。100 Gbaudの実現には、レーザーの動作速度を決める主要因である寄生容量の低減と共振器の最適化が不可欠です。
課題 | 技術的解決策 |
寄生容量 | 半導体構造の微細化、酸化膜などによる電流狭窄構造の最適化(電流注入領域の極小化) |
熱的安定性 | 高速動作による発熱を抑えるための高効率な放熱構造の設計 |
変調帯域 | 利得媒質となる多重量子井戸(MQW)構造の最適化や、共振器の光子寿命を短くする設計 |
応用技術:PAM-4変調
100 GbaudのVCSELで200 Gbps以上のデータレートを実現するためには、変調方式も重要になります。
PAM-4 (Pulse Amplitude Modulation 4-level): 信号を4つのレベルで表現することで、NRZ(2レベル)に比べてシンボルレートを変えずにデータレートを2倍にする技術です。100 GbaudのVCSELにPAM-4を適用することで、200 Gbps/チャネルの超高速伝送が可能となります。
3. 応用分野
100 Gbaud VCSELは、主に以下の分野でその能力を発揮します。
データセンター内の光インターコネクト: サーバーラック内やクラスタ間の高速・短距離接続で、従来の銅線配線を置き換え、大容量化と省エネルギー化を実現します。
AI/HPC接続: 大規模なAI処理クラスターにおけるGPU間接続など、極めて高い帯域幅と低遅延が求められる用途。
次世代光トランシーバー: 800 Gbpsや1.6 Tbpsといった次世代の光モジュールにおいて、チャネル数を大幅に削減し、小型・低コストの設計を可能にします。
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