VNAを用いたコンバージョンロス測定において、パワーメータによる補正(スカラ・ミキサ校正)は、最も信頼性の高い手法の一つです。VNA内部のレシーバーやソースのフラットネス誤差を排除し、ミキサ単体の変換損失を正確に抽出するために行われます。
高精度な測定を実現するための具体的な手順とポイントを解説します。
1. なぜパワーメータが必要か
VNAのソース出力やレシーバーの感度は、工場出荷時の校正状態であっても、ケーブルやアダプタの損失、経時変化によって数dB程度の誤差を含んでいることがあります。
パワーセンサの利点: パワーメータ(パワーセンサ)は、広い周波数範囲で絶対的な電力値を非常に高い精度(±0.1dB〜±0.2dB程度)で測定できるように設計されています。
ミスマッチの低減: 近年の高精度パワーセンサは反射係数が非常に小さいため、ミキサのようなインピーダンスが暴れやすいデバイスの測定において、不整合誤差(ミスマッチエラー)を最小限に抑えられます。
2. 補正の手順(ガイド付き校正)
一般的なVNA(Keysight PNA/ENAやR&S ZNA等)における「ソース・レシーバー校正」の流れは以下の通りです。
パワーセンサの接続: VNAのテストポート(RF出力ポート)にパワーセンサを直接接続します。
ソース校正: 指定した掃引周波数範囲において、VNAが目標とする電力(例:-10 dBm)を正確に出力できるよう、内部ソースのフラットネスをパワーセンサで掃引測定し、補正テーブル(Correction Table)を作成します。
レシーバー校正: 正確に補正されたソース出力を、測定に使用するレシーバーポート(IF入力ポート)にスルーで接続します。これにより、レシーバー側の周波数レスポンスを絶対電力基準で校正します。
ミキサの挿入: 校正完了後、ミキサを接続し、LOを印加して測定を開始します。
3. 高精度化のための重要テクニック
ギャン・コレクション(Gamma Correction)
パワーセンサの反射係数(Γ)データを利用して、VNAポートとセンサ間のミスマッチ損失を補正する機能です。最新のUSBパワーセンサの多くは、自身のSパラメータを保持しており、VNAと連携してこの誤差をリアルタイムで計算から除外できます。
複数回掃引による平均化
ミキサ測定はノイズフロアの影響を受けやすいため、IF帯域幅(IFBW)を絞る(100Hz〜1kHz程度)とともに、複数回の測定平均(Averaging)を行うことで、パワーメータ由来のわずかなゆらぎを抑え込みます。
外部アッテネータの活用
ミキサの各ポート(RF/LO/IF)に、高品位な固定アッテネータ(3dBまたは6dB)を挿入した状態で校正・測定を行います。
理由: ミキサの非線形性による反射波がVNAのソースやレシーバーに戻るのを防ぎ、定在波による測定値の「うねり」を劇的に改善できます。この際、アッテネータを含めた状態でパワーメータ校正を行うことが必須です。
4. 測定誤差の構成(エラー・バジェット)
高精度測定を目指す場合、以下の要素がトータルの不確かさに影響します。
パワーセンサの直線性: 通常、極めて優秀です。
コネクタの再現性: トルクレンチの使用が不可欠です。
LO電力の安定性: LO電力がわずかに変動するだけでコンバージョンロスは変化します。LOポートのレベルもパワーメータで事前に確認しておくべきです。
このように、パワーメータを「基準」としてVNAの各ポートを絶対値校正することで、ミキサの変換損失を単なる相対値ではなく、物理的に正確な値として得ることが可能になります。
PR:SIGLENT SNAシリーズVNAによるミキサー測定
 | スカラーミキサー測定機能 (SNA5000-SMM /SNA6000-SMM オプション): 特長: ・内蔵の第2信号源を局部発振器(LO)信号として使用することで、簡単なセットアップが可能です。 ・簡単なセットアップで測定可能です。 ・パワーセンサーを使用した校正が可能です。 |
| |
 | ベクトルミキサー測定機能 (SNA5000-VMM /SNA6000-VMM オプション): 特長: ・内蔵の第2信号源を局部発振器(LO)信号として使用することで、簡単なセットアップが可能です。 ・測定パラメータ:ミキサーの群遅延を含むベクトルSパラメータ ・周波数変換方式を用いてDUTのベクトル伝送特性を測定 ・DUTがダウンコンバージョンで動作する場合、校正ミキサーはアップコンバージョンで動作させる必要があり、その逆も同様です。 ・DUT、校正ミキサー/フィルタの組み合わせ、電力分配器、VNA、および外部ソース(必要な場合)を接続 ・パワーセンサーを使用した校正が可能です。 |
PR:
 | SMM3000Xシリーズ 高精度ソースメジャーユニット・表示桁数:6½桁(2,100,000カウント) ・最大サンプリングレート:100,000ポイント/秒 ・プログラミング/測定の最小分解能:10 fA / 100 nV ・最大出力:±210 V / ±3.03 A(DC)/ ±10.5 A(パルス) ・DC、パルス、スキャン、リスト出力に対応。最小パルス幅は50μs ・グラフ表示とデジタル表示を備えた5インチのタッチスクリーン ・SMM3311X(1ch) / SMM3312X(2ch) ・価格:90万円~ |
 ・USB VNA |  |
 | SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 4チャンネル + 外部トリガーチャンネル アナログチャンネル帯域幅:最大16GHz(8/13/16GHz) リアルタイムサンプリングレート:最大40GSa/s(全チャンネル同時) 12ビットADC 低ノイズフロア:16GHz帯域幅で176μVrms SPOテクノロジー ・ 波形キャプチャレート:最大200,000フレーム/秒 ・ 256段階の波形輝度と色温度表示をサポート ・ 最大2Gポイント/チャンネルのストレージ容量 ・ デジタルトリガー |
 | SSG6M80Aシリーズ マルチチャネル・コヒーレント・マイクロ波信号発生器 主な特長 ・最大周波数 13.6 GHz/20 GHz ・出力周波数分解能 最大0.001 Hz ・位相ノイズ < -136 dBc/Hz @ 1 GHz、オフセット 10 kHz(測定値) ・コヒーレントモード、搬送周波数 = 10 GHz、周囲温度変動 ±2℃、観測時間 5時間、位相変動 < 1.5° ・チャンネル間の周波数、振幅、位相を個別に調整可能。単一デバイスチャンネル同期および複数デバイスチャンネル位相同期をサポート。位相メモリ機能搭載 ・アナログ変調、パルス変調(オプション) |
 |  |
 | SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Measurement Frequency Range: 2 Hz ~ 50 GHz ・IQ Analysis Bandwidth: 1.2 GHz ・Real-time Spectrum Analysis Bandwidth: 400 MHz ・Phase Noise: -123 dBc/Hz @ 1 GHz, 10 kHz offset ・DANL: Less than -165 dBm/Hz ・Demodulation and analysis of signals from multiple mobile communication standards including 5G NR, LTE/LTE-A, WLAN, and IoT, as well as wireless connections. |
 | SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features ・Frequency Range: 100 kHz ~ 50 GHz ・Dynamic Range: 135 dB ・IF Bandwidth Range: 1 Hz ~ 10 MHz ・Output Power Setting Range: -60 dBm ~ +20 dBm ・Supports 4-port (2-source) S-parameter measurements, differential (balanced) measurements, time-domain analysis, scalar mixer measurements, etc. ・Optional accessories include electronic calibration kits, switch matrix, and mechanical switches. ・AFR |
お礼、
T&Mコーポレーションは設立5年ですが、おかげさまで業績を着実に伸ばしており、
オフィスを港区芝(最寄り駅浜松町)に移転し、スペースも拡大いたしました。
電子計測器業界の「ゲームチェンジャー」として、高性能/高信頼/低価格/短納期を武器に
T&Mコーポレーションはお客様のご予算を最大限生かす製品群をご提案させていただいております。