MOEMS(Micro-Opto-Electro-Mechanical Systems)は、光を扱うためのMEMS(微小電気機械システム)技術であり、光信号の検出、変調、スイッチングなどの機能をマイクロスケールで実現するデバイス群です。光MEMS (Optical MEMS) とも呼ばれます。
💡 MOEMS(光MEMS)の概要
MOEMSは、従来の電子回路(マイクロエレクトロニクス)の技術と、光を集積化する技術(フォトニクス)、そして微小な機械構造を組み合わせたものです。
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定義: 半導体製造技術(フォトリソグラフィやエッチングなど)を用いてシリコンなどの基板上に作られた、光学的機能を持つマイクロメートルサイズの**可動部品(ミラー、シャッターなど)**を備えたデバイスです。
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構造: 一般的に、光を制御するための微小な機械構造(例:鏡、導波路、レンズ)と、それを動かすためのアクチュエータ(例:静電駆動、熱駆動)、そして信号処理を行うための電子回路から構成されます。
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利点: 従来の大型の光学部品に比べて、小型化、軽量化、低消費電力化、高速応答性、そして大量生産による低コスト化が可能です。
🔬 代表的なMOEMSデバイス
MOEMS技術は、特に光通信、ディスプレイ、センシングの分野で、核となるコンポーネントとして利用されています。
1. デジタル・マイクロミラー・デバイス (DMD)
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概要: 数十万から数百万個の**微小なミラー(鏡)**をアレイ状に並べたデバイスです。個々のミラーは独立して電気的に傾きを制御でき、光を反射する方向を切り替えます。
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機能: 各ピクセルで光のオン/オフや強度を高速に変調します。
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用途: プロジェクター(TI社の DLPTM技術)、3Dプリンティング、高度な照明システムなど。
2. MEMS光スイッチ (Optical Switch)
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概要: 光ファイバー通信において、光信号を電気に変換することなく、光の経路を物理的に切り替えるために使用されるデバイスです。
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機能:
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2Dスイッチ: 平面上で微小ミラーを傾け、光ファイバー間の経路を切り替えます。
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3Dスイッチ: 多数の大型ミラーを動かし、光ファイバーネットワーク内の複雑な経路を切り替えます。
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用途: データセンター、通信キャリアのネットワーク(動的なルーティング、バックアップ経路の切り替え)。
3. MEMSスキャニングミラー (Scanning Mirror)
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概要: 1軸または2軸に高速で傾斜可能な微小なミラーです。
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機能: レーザー光を反射させ、その反射方向を高速かつ広範囲にわたって走査(スキャン)します。
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用途: LiDAR (ライダー)(自動運転車やロボットの距離センシング)、レーザープロジェクション(AR/HUD)、バーコードスキャナー。
4. シリコンフォトニクス (SiPho) 統合デバイス
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概要: シリコンフォトニクス技術と統合されたMOEMSコンポーネントです。
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機能: MOEMSの可動構造を利用して、光導波路内の光の位相や結合強度を極めて低消費電力で動的に制御します(例:MEMS移相器、MEMS可変光減衰器)。
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用途: 大規模なプログラマブル光集積回路、超高速・省電力のデータセンター内インターコネクト。
代表的なMOEMSデバイス(wiki)
- 光スキャナ (ガルバノメータ)
- デジタルミラーデバイス(DMD)
- 光スイッチ
- ボロメータ型赤外線撮像素子
- 波長可変レーザー (共振器を可変長化する)
- MEMS-IGZOディスプレイ
- 光変調器
- 光MEMS静電共振ミラー
- GxL光変調モジュール
- 補償光学
- 能動光学
- 網膜走査ディスプレイ(RID)
- 光電子増倍管
Ceyear社ではLightwave Component Analyzer、Optical Spectrum Analyzerをラインナップしています。
2025年マイクロウェーブ展で展示されます。https://tm-co.co.jp/mwe2025/









