Kikuo Wakino(脇野 菊夫 わきの きくお)氏は、株式会社村田製作所において、主に電子セラミックスとそれを用いたマイクロ波デバイスの開発を主導し、現代の無線通信技術の発展に決定的な貢献をされた著名な研究者・技術者・経営者です。
村田製作所でのキャリアと貢献
脇野 菊夫氏は、村田製作所に長年在籍し、技術開発と経営の両面で重要な役割を果たしました。
入社・初期の貢献: 1952年に村田製作所に入社。初期にはディスク型セラミックコンデンサの低コスト量産化などに貢献しました。
経営層: 役員に昇進し、専務取締役や常務取締役などを歴任し、技術開発部門を統括しました。
学術活動: 村田製作所退社後も、立命館大学などで客員教授として研究と後進の指導にあたりました。
主要な技術的功績
脇野 菊夫氏の最も重要な功績は、セラミックス材料の研究を通じて、通信機器の小型化と高性能化を可能にした点にあります。
1. 誘電体共振器の開発
超低損失セラミックス: 携帯電話や衛星通信システムで使用されるマイクロ波フィルタや発振器の心臓部となる誘電体共振器に用いる、超低損失で温度安定性に優れるセラミックス材料の開発を主導しました。
小型化の実現: この開発により、従来の空洞共振器(大型)をセラミック製の小型部品に置き換えることが可能となり、携帯電話の小型化と高性能化に不可欠な基盤技術を提供しました。
2. その他のセラミック部品開発
圧電セラミックス (PZT): セラミックIFフィルタなどの圧電部品の量産技術を確立しました。
積層セラミックコンデンサ (MLCC): 積層技術を駆使した小型で高性能なコンデンサの開発・量産化にも貢献しました。
受賞と評価
脇野 菊夫氏は、その革新的な技術開発と産業界への貢献により、国内外で多くの栄誉を受けています。
IEEEフェロー: 電気電子学会(IEEE)のフェロー。
藍綬褒章(1988年): 日本国政府より、公共の利益や功績のあった人物に贈られる褒章。
科学技術庁長官賞(1988年)。
IEEEでの顕彰(1996年): 「低損失で温度安定性に優れるセラミック誘電体共振器の先駆的な開発に対して」功績が認められました。
脇野 菊夫氏の研究は、村田製作所が世界的な電子部品メーカーへと成長する上で、技術的な屋台骨を築いたと言えます。
MMA Wakino Award について "Microwave Materials and Applications"
MMA は「マイクロ波材料と応用」の略称で、2000 年以来世界中で 2 年に 1 回開催されている一連の会議、学会です。
MMA は、マイクロ波材料とその応用の分野で業界と学界の専門家を集めます。これにより、業界と学界の貢献の割合が同等になることを目指します。この有益なアイデアと課題の交換により、関連する問題に対する学術研究の調整が可能になります。一方、この会議は、学生がこの分野に必要な関連スキル、特にパッケージングの統合の強化を学習する機会を確実に提供します。パッケージングでは、より多くのコンポーネントと機能をより高い周波数で 1 つのパッケージに統合することが、革新的な材料ベースのソリューションの強力な推進力となります。
About MMA
Wakino Award
2014年に創設され、MMA会議において2年ごとに1名の優れた研究者を表彰・奨励するものです。受賞者は、MMAの国際諮問委員会(International Advisory Board)の賞委員会メンバーによって選考されます。
本賞は、MMA会議において2年ごとに1名の優れた研究者に授与されます。村田製作所、とりわけ脇野博士は、この会議シリーズの創設者の一人でした。
脇野 菊夫先生 大阪大学物理学科卒業(1950年)
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