SiC(炭化ケイ素)パワーデバイスにおいて、バイポーラ劣化(積層欠陥の拡張)以外に最も重要視される信頼性課題は、**「ゲート絶縁膜(酸化膜)の劣化」「宇宙線による偶発故障」**の2点です。

特にSiC MOSFETは、材料特有の性質からシリコン(Si)とは異なる劣化挙動を示します。


1. ゲート絶縁膜の信頼性(MOSFET固有)

SiC MOSFETでは、SiC結晶の上に二酸化ケイ素($SiO_{2}$)を形成しますが、この界面に欠陥が生じやすく、それが動作の安定性を損ないます。

  • しきい値電圧シフト(BTI: Bias Temperature Instability):

    • ゲートに電圧をかけ続けると、界面付近の欠陥に電荷がトラップされ、しきい値電圧($V_{th}$)がじわじわと変化します。

    • PBTI(正バイアス): ゲートにプラスをかけ続けると$V_{th}$が上昇し、オン抵抗が増大します。

    • NBTI(負バイアス): ゲートにマイナスをかけ続けると$V_{th}$が低下し、意図しないタイミングでスイッチが入るリスクが生じます。

  • 経時絶縁破壊(TDDB: Time Dependent Dielectric Breakdown):

    • 長時間の電界ストレスにより、酸化膜内に徐々にダメージが蓄積し、最終的に絶縁膜が突き抜けて故障する現象です。

    • SiCはSiよりも絶縁膜にかかる電界強度が強くなりやすいため、より厳格な設計が求められます。


2. 宇宙線による偶発故障(SEB / SEGR)

地上にも降り注いでいる中性子などの宇宙線がSiC結晶内の原子と衝突し、デバイスを一瞬で破壊する現象です。

  • SEB(シングルイベントバーンアウト):

    • 宇宙線が衝突した際に発生した大量の電荷が、寄生バイポーラトランジスタをオンさせてしまい、大電流が流れて焼き切れる現象です。

  • SEGR(シングルイベントゲート破断):

    • 衝突時のエネルギーにより、ゲート酸化膜が直接破壊される現象です。

  • 特徴: これは「摩耗」ではなく、ある確率で突然起こる「偶発故障」です。特に高電圧で使用するほど発生確率が指数関数的に高まるため、定格電圧に対して余裕(ディレーティング)を持たせた運用が不可欠です。


3. その他の劣化要因

劣化の種類 現象と影響
ドレイン誘起障壁低下 (DIBL) 微細化に伴い、ドレイン電圧の影響で意図せずチャンネルが開いてしまう。
ヒートサイクル劣化 パッケージ(はんだ接合部やワイヤボンディング)が、熱膨張の繰り返しで剥離する。
ホットキャリア注入 高速スイッチング時に加速された電子が酸化膜に飛び込み、特性を変える。

 

 

 

出典:Google Gemini

 

 

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