VNAの校正において、「アイソレーション(Isolation)校正」をスキップすべき、あるいはしない方が良いケースは実務上多々あります。

現在のVNAは非常に高いダイナミックレンジを持っており、アイソレーション校正を誤って適用すると、かえって測定結果に悪影響を及ぼす(ノイズを乗せてしまう)ことがあるためです。

具体的にしない方が良いケースは以下の通りです。

 


1. VNAのノイズフロア付近まで「絞り込めない」場合

アイソレーション校正は、ポート間にLoad(終端抵抗)を接続して、漏れ込み(クロストーク)を測定・除去する作業です。

  • 理由: もし校正時のIFBWが広く、ノイズに埋もれた状態でアイソレーションデータを取得すると、そのランダムノイズを「系統誤差」として記録してしまいます。

  • 結果: 測定時にそのノイズを数学的に差し引こうとするため、トレース(特にS21の低いレベル)が激しく暴れる原因になります。

2. DUTのアイソレーションがVNAの仕様(約120〜140dB)より十分高い場合

現代のVNAは、アイソレーション校正なしでも極めて高い分離性能を持っています。

  • 理由: 測定したいDUTのアイソレーションが80dB程度であれば、VNA素の性能(120dB以上)で十分カバーできます。

  • 判断基準: 「VNAのクロストーク特性 < DUTのアイソレーション」であれば、校正のメリットよりも、校正キットの接続不備やノイズ混入によるデメリットの方が上回ります。

3. 校正キットのLoad(終端)の品質が不十分な場合

アイソレーション校正には、非常に精度の高い(反射の少ない)Loadが2つ必要です。

  • 理由: Load自体からわずかでも信号が漏れたり、反射が戻ったりすると、それをアイソレーションエラーとして誤学習します。

  • 結果: 本来存在しない補正がかかり、ダイナミックレンジが逆に悪化したり、透過特性にオフセットが乗ったりします。

4. アイソレーション校正後に測定ケーブルを動かしてしまう場合

VNAは「校正時と同じケーブル状態」を前提に補正計算を行うため、動かした後は「計算の前提条件」が崩れた状態(Uncalibratedに近い状態)になります。

  • 理由: アイソレーション校正で「今の漏れはこれくらい」と覚えさせた後にケーブルを動かして漏れ量が変わると、VNAが過剰に引き算(あるいは足し算)をしてしまう。(誤差の増幅)

  • 結果: 測定結果がマイナス無限大に振れたり、不自然なピークが出たりします。


アイソレーション校正を「あえて行う」べき特殊なケース

逆に、以下のような特殊なセットアップではアイソレーション校正が推奨されます。

  • 高利得アンプの測定: アンプのゲインが非常に高く、ポート間のわずかな漏れが発振や測定誤差を招く場合。

  • フィクスチャや複雑な配線を介している場合: ケーブル同士が密着しており、外部で物理的なクロストーク(結合)が発生していることが明らかな場合。

  • 極低温測定や非常に長いケーブルを使用する場合: 測定系のダイナミックレンジが物理的要因で大幅に低下している場合。


実務上のベストプラクティス

  1. 基本はスキップ: キーサイト製VNAのウィザードでは、アイソレーションは「Optional(任意)」となっており、通常は**スキップ(Omit)**するのが業界のスタンダードです。

  2. どうしても行う場合: * IFBWを極限まで絞る(例:10Hz)。

    • アベレージングを多用する。

    • これにより、VNAの真のノイズ底を「クリーンに」覚え込ませる必要があります。

S21で100dB以上の深い減衰を正確に評価する必要がなければ、アイソレーション校正は行わずに 「Short / Open / Load / Thru」 の4ステップに留めるのが、最も安定したデータを得る近道です。

 

 

 

 

出典:Google Gemini (Gemini は AI であり、間違えることがあります。)

 

 

 

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