2026年現在の車載用SiC MOSFET市場では、**「信頼性のプレーナー型」から「高効率・小型化のトレンチ型」**への転換期にありますが、テスラとBYDではその戦略に興味深い違いがあります。
1. テスラ (Tesla) の動向:プレーナー型から進化
テスラは世界で初めてSiC MOSFETを量産車(Model 3)に採用した先駆者ですが、長らくプレーナー型を主軸としてきました。
-
現在の主流: プレーナー型(STMicroelectronics製など)
-
Model 3やModel Yの初期〜現行モデル(Highland含む)の多くは、信頼性とコストのバランスに優れたプレーナー型を採用しています。
-
-
最新の動き: 2026年投入予定の「Model Y Juniper」や次世代低価格モデルに向けて、**チップ個数の削減(SiC使用量75%削減計画)**を打ち出しています。
-
これを実現するために、単位面積あたりの性能が高いトレンチ構造への切り替え、あるいはプレーナー型を極限まで微細化した最新世代(オンセミのM3eなど)の採用が進んでいると見られています。
-
2. BYD の動向:垂直統合によるトレンチ型へのシフト
BYDは自社で半導体部門(BYD Semiconductor)を抱える垂直統合モデルの強みを活かし、早期から高性能な構造を導入しています。
-
現在の主流: トレンチ型(自社開発および外部調達のハイブリッド)
-
2024年〜2026年モデル(Sealion 7, Seal, Hanなど)のハイエンドグレードでは、800Vシステムに対応したトレンチ型SiC MOSFETが主流です。
-
-
技術的特徴: 自社製のトレンチ構造により、オン抵抗を劇的に低減。これにより、高性能モーター(23,000rpmなど)や超急速充電(5分で400km走行分など)を実現するインバータを構成しています。
3. 車載向け構造のトレンド比較(2026年時点)
| 特徴 | プレーナー型 (Planar) | トレンチ型 (Trench) |
| 主な採用メーカー | テスラ(従来機)、オンセミ系 | BYD、ローム系、独インフィニオン系 |
| メリット | ゲート酸化膜の信頼性が高く、製造が容易 | 抵抗が低く、チップサイズを小型化できる |
| デメリット | チップ面積が大きくなり、高コスト化しやすい | トレンチ底部への電界集中対策が必要 |
| 2026年の立ち位置 | 「熟成のスタンダード」 | 「次世代のハイパフォーマンス」 |
4. なぜ構造が分かれるのか?
車載用では「10年・15万km以上」という極めて高い信頼性が求められます。
-
テスラは当初、リスクの低いプレーナー型を「独自のパッケージング技術(銀焼結など)」で補って性能を出していました。
-
BYDや欧州勢は、チップそのものの性能(トレンチ化)で効率を稼ぐ方向にシフトしており、現在はこのトレンチ構造が「車載の標準」になりつつあります。
こちらの動画では、次世代のEV向け電力変換技術やSiCの最新トレンドについて詳しく解説されており、テスラやBYDなどの動向を理解するのに役立ちます。
最新のEVパワーエレクトロニクス動向2026
出典:Google Gemini
関連:
-
GaN/SiCデバイスのC–V測定とは
GaN/SiCデバイスのC–V測定とは ~次世代パワーデバイスの電気特性を非破壊で評価する基本手法~ ■ 定義 GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)を材料としたパワー半導体デバイスに対して、静電容量とバイアス電圧の関係(C–V特性)を測定する手法を「C–V測定」と呼びます。 この手法により、デバイス内部のドーピング分布、空乏層の広がり、界面準位、しきい値電圧などの重要パラメータを非破壊かつ[…]
-
パワーレール・プローブを使用する理由
パワーレール・プローブを使用する主な理由は、DCパワーレールのごくわずかなリップルやノイズを高精度で測定するために最適化されているからです。 従来の受動プローブや一般的な差動プローブと比較して、パワーレール・プローブには次のような利点があり、パワーインテグリティ(PI)測定に不可欠です。 パワーレール・プローブの主な利点 1. 非常に低いノイズフロア &n[…]
-
パワーレール DC電源の上に乗っている微小信号を測定 SAP4000P
DC電源レール(パワーレール)に重畳している**微小信号(リップル、ノイズ、トランジェントなど)**を正確に測定するには、大きな直流電圧成分(DCオフセット)を適切に扱い、測定器やプローブのノイズの影響を最小限に抑えるための特別な手法が必要です。 主に、オシロスコープと専用プローブを用いた測定が一般的です。 1. 測定の基本戦略 微小信号を正確に測定するための重要なポイ[…]
PR:
![]() |
SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 ・Coming soon
|
![]() |
SSG6M80Aシリーズ ・Coming soon
|
![]() |
![]() |
![]() |
SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features ・Coming soon
|
![]() |
SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features
|
お礼、
T&Mコーポレーションは設立5年弱ですが着実に業績を伸ばしており、
オフィスを港区芝(最寄り駅浜松町)に移転、スペースも拡大いたしました。
有名ブランドメーカーが値上げをする中、(110GHz VNAでは1億円超え)
弊社では若干の値下げをさせていただきました。(110GHz VNA、Ceyear社製は5000万円以下です。)
弊社、取扱メーカー各社は電子計測器業界の「ゲームチェンジャー」として、高性能/高信頼/低価格/短納期を武器にお客様のご予算を最大限生かす製品をご提案させていただいております。













