10 MHzから110 GHzという超広帯域をカバーする分散増幅器(Distributed Amplifier)は、テラヘルツ波や6G通信(sub-THz)、超高速光通信、およびハイエンドな測定器(VNA/オシロスコープ)のフロントエンドにおいて極めて重要なコンポーネントです。
現在、この極限的な帯域を単一のモジュールまたはMMICでカバーできる主要メーカーと比較情報をまとめました。
主要メーカーの製品比較
現在、110 GHzまでをカバーする商用アンプを提供している主要なプレーヤーは、Eravant、Analog Devices (ADI)、Northrop Grumman などです。
メーカー | モデル例 | 周波数範囲 | 利得 (Gain) | 主な特徴・用途 |
Eravant | SBB-0111141708 | 10 MHz - 110 GHz | 17 dB (@70GHz) / 10 dB (@110GHz) | 同軸(1.0mm)接続。6G通信、AI研究、高速試験用。導波管変換(Uni-Guide)に対応。 |
Analog Devices | HMC-AUH312 (MMIC) | 500 MHz - 65 GHz+ | ~10 dB | 現行の商用カタログ品では65GHz付近が多いが、カスタムや次世代品で110GHz対応を強化中。 |
Northrop Grumman | ALP292 (InP) | 90 GHz - 112 GHz | 30 dB | 超広帯域ではないが、110GHz帯(W/Fバンド)における圧倒的な低ノイズ(NF 3dB)を実現。 |
技術的な注目ポイント
半導体プロセスの違い
InP (インジウムリン) HBT/HEMT: 110 GHzを超える帯域で最も高い利得と低ノイズ特性を維持できるため、このクラスの増幅器の主流です(例:NTTやNorthrop Grummanの技術)。
GaN (窒化ガリウム): 高出力化には向いていますが、110 GHzまでの超広帯域フラットネスを維持するのは難易度が高く、通常は特定の周波数帯(Wバンドなど)に特化します。
分散増幅器(Distributed Amplifier)の構造
通常の多段アンプとは異なり、伝送線路に沿って複数のトランジスタを配置することで、寄生容量を相殺し、極めて広い帯域を確保しています。
コネクタとパッケージング
110 GHzを扱う場合、1.0 mm 同軸コネクタ(W1コネクタ)が必須となります。
同軸からWR-10等の導波管への変換損失が性能を左右するため、Eravantのようにコネクタの柔軟性が高いメーカーが選ばれる傾向にあります。
選定のアドバイス
独自の回路開発(SDRやカスタムRF系)であれば、EravantのSBBシリーズが、10 MHzから110 GHzまでを1つでカバーできる数少ない「Ready-to-use」なモジュールです。
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