旧HP/アジレント(現キーサイト)のネットワークアナライザ E5100Aの内部信号源(ソース出力)は、通常の周波数掃引(スイープ)において位相連続ではありません(位相不連続です)。
E5100Aは水晶振動子やセラミックフィルタなどの製造ライン・部品評価向けに特化した高速なネットワークアナライザですが、その周波数切り替えの挙動は以下のようになっています。
なぜ位相不連続なのか?
E5100Aは、測定ポイントごとに周波数をステップ状に切り替えて測定を行う「ステップ・スイープ」を採用しています。
各測定ポイントに移動する際、内部のシンセサイザが次の周波数へロックするまでの過渡応答が発生し、その時点で切り替え前の位相情報との連続性は失われます。ネットワークアナライザの仕様として、各ポイントで信号が安定(ロック)した後にレシーバーで振幅と位相の測定(IF検波)を行うため、スイープ中の位相の連続性は必要とされていません。
E5100Aの仕様に見られる特徴
高速なセトリング(ロックタイム):
E5100Aは1ポイントあたり最速40 µs(あるいはそれ以上)という非常に高速な測定を売りにしていますが、これは「位相連続だから速い」のではなく、「内部のPLLシンセサイザのロック(セトリング)速度が極めて高速に設計されている」ためです。
位相トラッキング機能:
E5100Aにはフィルタや共振子の評価用に「位相トラッキング(追尾)機能」が備わっています。これは、デバイスの共振周波数がズレたときにソースの周波数を追従させる機能ですが、これも測定結果をフィードバックして「次の周波数を設定し直す」動作であるため、出力される高周波(RF)信号そのものが地続きで位相連続になっているわけではありません。
まとめ
E5100Aの出力周波数が変化するとき、そのRF信号の位相は「一度途切れて次の周波数に高速に再ロックする(不連続)」という挙動になります。もし、スイープ中も完全に位相が繋がった(DDSのような)ソースをイメージされている場合は、E5100Aの出力はその挙動とは異なりますのでご注意ください。
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