AFR(自動フィクスチャ除去)を適用した際の「測定時間」への影響は、主に2つのフェーズ(準備段階とリアルタイム測定段階)で考える必要があります。
結論から言うと、一度設定してしまえば、通常の測定(ランタイム)における速度低下はわずかですが、計算負荷によるわずかなオーバーヘッドが生じる場合があります。
1. 準備段階(キャラクター設定時)の時間
AFRの最大の「コスト」は、最初のデータ抽出にかかる時間です。
測定プロセス: AFRウィザードを実行中、VNAはタイムドメイン(TDR)計算、ゲート設定の適用、およびSパラメータの逆算を何度も行います。
計算待ち: 差動(4ポート)の場合、2ポートよりも計算量が多くなり、Apply(適用)を押してからS2Pファイルが生成・ロードされるまでに、数秒〜十数秒の待ち時間が発生することがあります。
2. リアルタイム測定(掃引速度)への影響
一度AFRが適用(ON)されると、VNAは毎回の掃引ごとに「生の測定値」に対して「AFRの補正計算」をリアルタイムで行います。
デジタル処理の負荷:
VNA内部のDSP(またはUSBタイプの場合はPCのCPU)が、行列演算(デエベディング)を各ポイントで実行します。
最新のVNA: プロセッサが非常に高速なため、AFRをONにしても掃引速度の低下は体感できないレベルです。
古いPCでのUSB VNA: PC側のスペックが極端に低い場合、1601点などの多ポイント測定で、画面更新が遅れる(数ミリ秒〜数十ミリ秒の遅延)ことがあります。
3. 間接的に測定時間を「増大」させる要因
AFRそのものの計算よりも、「AFRの精度を出すための設定」が測定時間に影響を与えます。
ポイント数の増加:
AFRで高精度なゲート(Gating)をかけるには、時間軸での解像度を上げるために周波数ステップを細かく(=ポイント数を多く)設定する必要があります。
例: 201ポイントから1601ポイントに増やすと、単純計算で掃引時間は 約8倍 になります。
IFBWの制限:
前述の通り、低域(スタート周波数)の精度を上げてTDRのベースラインを安定させるためにIFBWを絞ると、さらに掃引時間が延びます。
4. AFRと他の機能の組み合わせによる影響
組み合わせ | 測定時間への影響 |
AFR + アベレージング | 累積的に増加します(10回なら10倍)。 |
AFR + タイムドメイン表示 | 補正計算の後にさらにIFFTを行うため、描画の負荷が最大になります。 |
AFR + 複数トレース | 差動(Sdd, Sdc, Scd, Scc)をすべて同時に計算・表示する場合、データ処理量が増えますが、現代の機材ならほぼリアルタイムです。 |
まとめ:実務での運用アドバイス
RFSoCの評価などで、「高速なスループット」と「AFRの精度」を両立させるためのヒントです。
キャラクター抽出時のみ高精度に: AFRのファイルを生成する時だけ「ポイント数多め(1601点〜)」「IFBW狭め(1kHz)」でじっくり測ります。
通常測定時は軽く: 一度 .s2p ファイルができれば、実際のデバイス測定時にはポイント数を減らしたり、IFBWを広げたりしても、デエベディングの補正自体は正しく機能します。
もし、USBタイプのVNAをお使いで、AFR適用時に画面がカクつく(リフレッシュレートが落ちる)場合は、PCのタスクマネージャーでCPU負荷を確認し、必要に応じてIFBWを少し広げてバランスを取るのが現実的です。
PR:
![]() | SMM3000Xシリーズ 高精度ソースメジャーユニット・表示桁数:6½桁(2,100,000カウント) ・SMM3311X(1ch) / SMM3312X(2ch) ・価格:90万円~ |
![]() ・USB VNA | ![]() |
![]() | SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 |
![]() | SSG6M80Aシリーズ |
![]() | ![]() |
![]() | SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features |
![]() | SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features |
お礼、
T&Mコーポレーションは設立5年ですが、おかげさまで業績を着実に伸ばしており、
オフィスを港区芝(最寄り駅浜松町)に移転し、スペースも拡大いたしました。
電子計測器業界の「ゲームチェンジャー」として、高性能/高信頼/低価格/短納期を武器に
T&Mコーポレーションはお客様のご予算を最大限生かす製品群をご提案させていただいております。



















