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パスロス係数(Path Loss Exponent: PLE)

GLOSSARY

原田博司教授の研究グループが105 GHz帯(サブテラヘルツ帯)で行った測定において、パスロス係数(Path Loss Exponent: PLE)は、この高周波数帯が将来の6G通信でどれほど使いやすいかを判断する極めて重要な指標となっています。

理論上の自由空間におけるパスロス係数は n = 2.0 ですが、実環境(屋内など)では周囲の反射や減衰の影響でこの値が変動します。


1. 105 GHz帯におけるパスロス係数の実測値

原田研究室の報告(105.8 GHz / 4 GHz帯域幅の測定)によると、屋内LoS(視通)環境での結果は以下のようになっています。

環境条件

パスロス係数 (n)

特徴

自由空間(理論値)

2.0

理想的な空間。

屋内LoS(実測)

1.7 ~ 1.9

理論値(2.0)よりもわずかに小さい値が観測されています。

屋内NLoS(非視通)

2.5 ~ 4.0

遮蔽物がある場合、急激に減衰が大きくなります。

なぜ理論値(2.0)より小さくなるのか?

屋内(オフィスや会議室)でのLoS測定において、係数が2.0を下回ることがあります。これは、廊下や壁からの導波路効果(Waveguide Effect)や、複数の反射波が直接波に重畳することで、距離による減衰が理論上の広がりよりも抑えられるためです。


2. 60 GHz帯との比較

この研究の特筆すべき点は、ミリ波(60 GHz)とサブテラヘルツ(105 GHz)の特性を直接比較したことです。

  • PLEの近似性: 60 GHz帯での屋内LoSのPLEも一般的に1.7〜2.0の範囲に収まります。

  • 結論: 105 GHz帯は、周波数が大幅に上がっているにもかかわらず、「距離減衰の特性(係数)」自体は60 GHz帯と非常に似ていることが示されました。これは、既存のミリ波向けネットワーク設計の知見を、105 GHz帯にも転用できる可能性を強く支持しています。


3. パスロスモデルの数式表示 (CIモデル)

研究では、3GPP等で一般的に使われる Close-In (CI) reference distance model が用いられています。

原田研究室のデータでは、この n が1.8前後、シャドウイング項 Xσ が約1.5〜2.5 dB程度と、非常に安定したLoS特性が得られています。


4. この数値が意味する実用上のメリット

  1. セル設計の容易さ: 係数が急激に大きくならないため、数メートル〜十数メートル程度の小セル(ピコセル・フェムトセル)であれば、既存のミリ波と同様の感覚で基地局配置を設計できます。

  2. デスクトップ通信の現実味: 105 GHz帯を用い、PCと周辺機器、あるいはサーバーラック内での超高速通信を行う際、PLEが2.0以下であれば、非常に安定したリンク予算(Link Budget)が確保できます。


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