TLPB(Transient Liquid Phase Bonding:過渡液相接合)は、銀シンター接合と並んで、300°C以上の極高温環境で動作するSiCパワーモジュールの実装において非常に注目されている接合技術です。
一言で言えば、「低い温度で溶かし、高い温度で固まる」という、魔法のような特性を持つ接合方法です。
1. TLPBの原理:等温凝固(Isothermal Solidification)
TLPBは、低融点金属(スズ Sn など)を高融点金属(銅 Cu、銀 Ag、ニッケル Ni など)で挟み込み、熱拡散を利用して接合します。
接合のステップ
溶融: 接合温度(例:250°C〜300°C)まで加熱すると、中間層の低融点金属(Sn)が溶けます。
拡散: 溶けた液体のSnの中に、周囲の高融点金属(CuやAg)が溶け込み、相互拡散が始まります。
等温凝固: 拡散が進むと、接合部の組成が変化し、融点の高い「金属間化合物(IMC)」が形成されます。これにより、温度を変えずに液体が固体へと変化(凝固)します。
完了: 最終的に、接合部は動作温度(300°C)よりも遥かに高い融点(例:400°C〜600°C以上)を持つ安定した合金層になります。
2. 主な材料の組み合わせ
SiCデバイスの実装では、主に以下の系が使われます。
Cu-Sn 系: 最も一般的。Cu6Sn5 や Cu3Sn といった金属間化合物を形成します。再溶融温度は約 415°C 以上になります。
Ag-Sn 系: Ag3Sn を形成。銀シンターに近い特性を持ち、電気抵抗が低いのが特徴です。
Ni-Sn 系: 耐食性に優れますが、接合に時間がかかる傾向があります。
3. TLPB vs 銀シンター接合:どっちがいい?
300°C環境において、TLPBは銀シンターと比較して以下のようなメリット・デメリットがあります。
比較項目 | 銀シンター接合 (Silver Sintering) | TLPB (過渡液相接合) |
接合圧力 | 高い圧力が必要(数〜数十MPa) | ほぼ無加圧または低荷重でOK |
再溶融温度 | 極めて高い(961°C) | 高い(400°C〜700°C程度) |
熱伝導率 | 非常に高い(150〜300 W/mK) | 低め(30〜60 W/mK) |
コスト | 高価(銀ナノ粒子を使用) | 比較的安価(SnやCuを使用) |
プロセス時間 | 短い(数分〜) | 長い(拡散を待つため数十分〜) |
4. 300°C動作におけるTLPBの利点
無加圧接合が可能:
銀シンターはチップを強く押し付ける必要があるため、薄いSiCチップや複雑な構造では破損のリスクがあります。TLPBは液体を経由するため、押し付けなくても良好な密着性が得られます。
ボイド(空隙)が少ない:
液体が隙間を埋めるため、銀シンターで課題となる「焼き固める際の微細な穴」が発生しにくく、気密性の高い接合が可能です。
耐熱サイクルの信頼性:
形成される金属間化合物は非常に硬く、高温でのクリープ(熱変形)に強いため、300°C環境での長寿命化に貢献します。
5. 実用上の課題
脆性(ぜいせい): 金属間化合物は「セラミックに近い金属」のように硬くて脆いため、大きなヒートシンクとの熱膨張差による「割れ」への対策が重要です。
処理時間の短縮: 完全に「等温凝固」を完了させるには時間がかかるため、量産性を高めるためのプロセス最適化が進められています。
PR:
![]() | SDS8000Aシリーズ オシロスコープ 特長と利点 |
![]() | SSG6M80Aシリーズ |
![]() | ![]() |
![]() | SSA6000A Series Signal Analyzer Main Features |
![]() | SNA6000A Series Vector Network Analyzer Key Features |
お礼、
T&Mコーポレーションは設立5年ですが、おかげさまで業績を着実に伸ばしており、
オフィスを港区芝(最寄り駅浜松町)に移転し、スペースも拡大いたしました。
欧米計測器メーカーが値上げをする中、(110GHz VNAでは1億円超え)
弊社では若干の値下げをさせていただき、Ceyear社110GHz VNAは5000万円以下です。
高額な設備投資を伴う製品開発では、市場投入までの時間(Time to Market)の短縮、「スピード感」が求められます。
電子計測器業界の「ゲームチェンジャー」として、高性能/高信頼/低価格/短納期を武器に
T&Mコーポレーションはお客様のご予算を最大限生かす製品群をご提案させていただいております。



























